他の寮生同士が会えるのは学校の場と寮の敷地以外の場所。

他の寮生間の寮の行き来は原則禁止とされており、基本は入れない。

バスケ部が大好きな誠凛寮の寮父の水無月とも偶然を装ってしか会うことができない。

が、寮の監督生となれば月に1度だけ監督生会議にて会うことができる。

それを毎月の楽しみに笠松や今吉たちは日々を過ごしているのだった。

今日はそんな監督生会議での様子を覗いていこうと思う。


「水無月さん!絶対に今吉さんたちには絡まれないでくださいね」

「う、うん・・・」

「日向も水無月さんから離れんなよ!むしろ個人的な話は一切交わさない勢いでマークだ!」

「俺も行こうかなぁ〜。監督生会議」

「木吉(先輩)(くん)はダメ」


毎月ある監督生会議の日は誠凛にとってこの世の終りのような日だ。

大事な大事な寮父の水無月がどこの骨とも分からぬ輩の中に入れられるだなんて言語両断。

隣にはチキンでヘタレの日向のみ。

ここで相田も一緒にいてくれると大分安心するが何せ監督生と寮母、寮父のみの会議だから出席する事はできない。

だから会議で寮をでるギリギリまでこうやって皆で水無月を囲んでいるのだ。


他の寮生の中での水無月の印象は全員が全員最高。

むしろ会えない事に欲求不満さえ感じているぐらいで。

そして監督生会議を今か今かと待ちわびている猛獣が数名いる。

他にも不安要素をあげればキリがない状態である。


「皆何心配してるんだよ。ただ笠松くんたちとお話するだけじゃないか」

「それが怖いんだ・・・です」

「今吉さんとか何考えてるか分かりませんからね。後大坪さんなんて水無月さんの事ペロって食べちゃいますよ」

「ええ〜。大坪くんいい子じゃない。この前手編みのマフラー貰ったんだ。オレンジ色の」


すごく暖かいんだ。と自慢げに話す水無月だがその言葉に水無月以外全員が固まった。

オレンジとは秀徳寮の色であり、つまり水無月は自分たちのものだと主張しているようにしか思えず。

思わぬ伏兵がいたなと小金井と水戸部は心の中で呟いた。




 




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