「ラグビー興味ない!?」
「日本人なら野球でしょ!」
「将棋とかやったことある?」
「水泳!チョーキモチイイ!」
4月。
俺たちは高校生になった。
中学生のときに仲がよかったヤツらとは離れ離れになり今俺はその1人と共に誠凛高校の門をくぐる。
部活の勧誘は強制部活だった中学の頃よりもなおいっそ拍車がかっている。
その人ごみの中で平然と読書をしている男、黒子テツヤ。
ヤツは影が薄く誰1人とも気づかない。
俺、久遠真白は持って生まれたこの顔のせいで誰も近寄ろうとせず。
こういう時はこの顔に感謝せず負えないようだ。
「真白くん、顔が怖いです」
「うるさい。これは素顔だ」
目指す方向はバスケ部ブース。
赤司とは違う赤い髪のデカい男に気を取られていたバスケ部の先輩たちを尻目に入部希望の紙を書いて2人で出て行く。
思ったより早く終わってこれからどうしようか、と考えていた時に黒子が話しかけてきた。
「でもいいんですか?中学の頃はあんなに入るの嫌がってたのに」
「ああ。事情が変わったんだ。前みたいに抜けることはあるけど部活には入る」
もちろんあの舐め腐った奴らを叩き潰す事が目的だけどな、と笑う。
黒子も無表情な顔を少しだけ崩し笑う。
「真白くんがいるだけで百人力ですよ」
「買いかぶりだろ?趣味でやってただけだからお前らとは違う」
黒子より1歩前に出て歩く。
そんな俺の姿を見て黒子の方からクスクスと笑う声がする。
「何笑ってんだよ」
「いいえ。嬉しいんですよ、僕は。こうやって真白くんと一緒にバスケが出来ることに。黄瀬くんや青峰くんに自慢できます」
「お前の本音は後者だろ・・・」
まずは第一歩。
「今年の1年ヤバい!?」
バスケ部のブースでは相田リコが1人悶絶していた。
アメリカ帰りに帝光中出身。この2つは相田を震え上がらせる。
「カントク何してんだよ・・・」
「あ!日向くん!いいところに。今年の1年生ヤバいわよ」
人集めで外に出ていた日向は相田から入部届けの紙を受け取る。
3枚の紙。興味津々に1枚ずつゆっくり見ていく。
最後の1枚になった時に日向の指が止まった。
「・・・コイツ」
「え、彼が気になるの?」
「いや、なんでもない」
以前出会った少年が思ってもみなかった形で再開するとは思わなかったと日向は心の中で笑みを浮かべた。
(木吉に一応連絡するか)
(日向くん何笑ってんのよ。気持ち悪い)
再会