「真白っち!」

「どうした、黄瀬」

「俺もう負けないっス。だから、」


抱き締めさせてほしい、と黄瀬が言う前に後ろから抱き締められる。

黄瀬の心臓の音が耳元で響いた。





「もー!遅いじゃない、久遠くん」

「カントク・・・どういう状況ですか、これ」


黄瀬と別れた俺はカントクにすぐに連絡すると、着いた場所はステーキハウスだった。

そこには4Kgの肉の塊を頬張っている火神と死にそうな顔をしてる先輩たち。

を楽しそうに正面から見ているカントクと実にシュールな光景だった。


「くっ久遠か・・・お前も食えよ、肉」

「いや途中参加とか無理でしょ。それに俺ステーキより焼き鳥の方がいいし」

「なにー!!先輩に逆らう気かぁぁぁぁぁ!」

「日向、落ち着け!久遠もびびってるから」


肉の塊で気が狂ってしまった先輩の悲鳴が店の中に響く。


「うめーつかおかわりありかな?あれ?いんないんだったらもらっていい?ですか?」


ただ1人火神はリスのように肉の塊を口一杯に頬張っていた。

4kg食っておかわりとかどんな腹してるんだ、コイツ。

しばらくすると少食な黒子は1人外の空気を吸いに行くからと出ていってしまった。

俺はそれを気づかぬフリして火神の食べっぷりを観察する。


「久遠、お前食わねーのかよ?」

「お前の食いっぷりみただけで腹一杯だよ。それに食ってみろよ。店の人が泣くぞ」


というか現在進行形で涙目だけどな、店の人。

最後の一欠片まで残さず綺麗に食い終わった時間は制限時間きっかりの30分で。

店の奥ですすり泣く声が聞こえた事はこの際誰にも言わないでおこう。


「うん・・・流石に食いすぎた」









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