集中力が切れかけてると言っていたのが嘘のように綺麗にゴールネットへとボールが吸い込まれていった。
「・・・・同点！？」
ようやく掴んだ逆転への糸。
きっとこれが俺たちにとってのラストチャンス。
黄瀬の表情が今までで見たこともないような険しい表情になる。
「黒子！」
火神の掛け声で黒子はパスをだそうとしたが黄瀬はそれを簡単に見切った。
そのまま黄瀬は自らドリブルで進みダンクを決める。
まだまだ強くなる伸びしろがあると言うわけか。
しかもこの土壇場で。
「俺は負けねぇスよ。誰にも黒子っちにも」
「やべぇな・・・全員気ィ入れろ。こっから試合終了まで第１Qと同じ点の取り合いだ！！」
矛が盾を突っ切っていくランガン勝負。
瞬きすらもできないほどのハイスピードで点が入っていく。
両者ともボールへの、勝敗への執念は劣らない。
９８ー９８ また同点へと並んだ。
「っの・・・！！しぶとい・・・！トドメさすぞ！」
笠松さんはチームに喝を入れる。
あと１５秒、
「時間ねぇぞ！！当たれ！ここでボール獲れなきゃ終わりだ！！」
「おお！！！」
日向先輩も負けじと劣らず声を張り上げる。
「守るんじゃダメ！！攻めて！！」
カントクも立ち上がり、精一杯の声を出す。
あと７秒、
「しまっ・・・！」
笠松さんがシュートを入れるモーションに入ったときに日向先輩は足がグラついた。
無理もない。フルタイム出て、２度のランガン勝負を繰り広げているわけだから足にガタが来てもおかしくはない。
これで勝負が決まるか。そう誰もが思った瞬間赤い火色が高く飛び上がり、ボールをブロックした。
そのボールをさっきのお返しと言わんばかりに日向先輩は精一杯手を伸ばし、受け取りそのまま投げる。
「うわぁあああ獲った！！マジかよ！！」
そのボールは火神へと渡り、黒子と一緒にゴールまで進む。
立ちはだかるは表情の変わっている黄瀬。
黄瀬はどっちも行かせないと言わんばかりに両手を広げる。
「黒子！」
あと１秒・・・
火神は黒子へパス。
しかし黒子にはシュートがない。
火神にはリターンの手段しか残ってはいない。
が、黒子は珍しくパスミスをする。
・・・・いや、違う。
これは、
「アリウーヴだ！！」
「させないっスよ！！」
火神は高く飛ぶ。
黄瀬もそれについで飛ぶが、火神の滞空時間が長すぎる。
火神と黄瀬の高さに差がつき始めた。
「テメーのお返しはもういんねーよ！！なぜならこれで終わりだからな！！！」
試合終了の音と共に火神はボールをゴールネットへと押し入れた。
１００ー９８。
それは俺たち誠凛が勝利した証だった。
（えっおっ俺たち勝った・・・のか？）
（よく見ろ、降旗。どう見ても俺たちの勝利だろ）
（うわあああああ！！！かったぁぁぁぁ！！）
新生誠凛バスケ部の初勝利
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