だから俺ができるのは黒子が回復するまでの間の繋ぎ。


「久遠!」

「はいっ!」


伊月先輩からもらったボールをドリブルで抜く。

1人、2人。

俺は体が小さい分火神のようなダンクも強引に突っ込むこともできない。

だからその分転換の効くドリブルでボールを少しでも味方の方へと持っていく。


「させないっスよ!真白っち!」


俺の前にでかい壁、黄瀬が立ちふさがる。

ようやくお出ましか。

さてどうやって抜こうかと考えていると、ふと背後に大きな覇気を感じ、俺はボールをもって後ろへ投げた。


「ナイスパスじゃねーの久遠!」


そのボールは日向先輩の手に移ってシュートを決める。


「久遠やるじゃん」

「・・・どうも」


伊月先輩とタッチを交わす。

例え頑張っても俺は黒子の代わりにはならず、パワーダウンしている事は事実。

いまの時点で68ー74。

逆転は難しい。


「第3Qあと3分!」


カントクの顔にも焦りが見え始める。


「カントク・・・何か手はないんですか?」

「・・・前半のハイペースで策とか仕掛けるような体力残ってないのよ。今動けるのは後から入った久遠くんだけ。せめて黒子くんがいてくれたら・・・」

「・・・わかりました」

「えっ?」


黒子がむくりと起き上がる。

まだ本調子ではなく、顔がいつもよりも真っ白だ。


「おはようございます。では行ってきます」


フラフラと覚束無い足取りで黒子は前へ進む。

カントクは急いで立ち上がり、黒子の前に立ちはだかる。









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