「お前がどんだけすげえ技返してこようが関係ねぇ。抜かせるのが目的だからな」


黒子のバックチップにより誠凛攻撃に代わり、繋いだパスからレイアップを決める。

これでようやく追いついてきた。

さあ正念場はこっからだ。


「そんなの抜かなきゃいいだけじゃないっスか。誰も言ってないっスよ。スリーポイントがないだなんて」


黄瀬が3Pのモーションに入る。

かかった。

火神は高く飛び、黄瀬のボールをカットし、日向先輩へとパスをする。


「行くぞ!速攻!!」


身長も体格もない黒子が平面、その分高さは火神がカバーをすればいい。

黄瀬だけじゃなく海常の選手も大分動揺し始めた。

このままいけば・・・と思った瞬間だった。

ガッ!!

黄瀬の振りかぶった腕が黒子の目のあたりに当たった。


「レフェリータイム!!」


救急箱を持って黒子の元へ向かう。

左眉上がパックリと切れ出血が止まらない。


「大丈夫か、黒子!?」

「・・・フラフラします」

「おい、大丈夫かよ」

「大丈夫です。試合はまだまだこれからでしょ・・・」


パタンと黒子は倒れる。

言わんこっちゃない。

ベンチに黒子を寝かせ、応急処置を始める。

先輩たちがどうするかと話している間俺は黒子の傍による。


「・・・使うか、黒子」

「真白くんが使ったら僕は傷は治ります。が、真白くんはどうなるんですか?」

「お前の傷を俺が受けるだけだ。前みたいに昏睡状態にはならないが何かしら体に影響は起きる」

「では嫌です。僕は・・・いえ、僕たちはあの時に真白くんに負担をかけないと、悲しい顔をさせないと誓いました。僕のせいで苦しむのは嫌です」


黒子は俺の頬を撫でる。

黒子の少し苦しげな表情が俺の瞳に映る。


「じゃあどうする?」

「僕の代わりに試合へ出てください。僕はあの時火神くんとだけ約束したわけではありませんから」

「わかった。ただし俺が出るのは全部じゃない。お前が回復するまでだ。いいな」

「十分です」


ジャージを脱ぎ、カントクの元へ向かう。


「久遠くんどうしたの!?」

「黒子からのご指名です。俺が黒子の代わりに出ます」


カントクは一度目を見開いて一度口元に手を置き、すぐさま頷いて俺の肩を叩く。


「・・・わかったわ。貴方に第2Qを託す。火神くんたちと暴れてきなさい」

「了解」


黒子とよりも少し高い位置で火神とハイタッチ。

さあ、はじめようじゃないか。黄瀬。


(黄瀬くんの得点を少しでも抑えて!)

(えっ・・・そんなんで大丈夫なんで・・・すか?)

(たまにはちゃんと先輩のいうこと聞けや殺すぞ!)


さあ、行くぞ!!




 




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