第２Ｑが始まる。
海常のＤＦはマンツーのまま。
伊月先輩のパスが火神へ繋ぎ、黄瀬が火神をマークする。
火神は自分で前に突っ込むわけではなく、後ろにいる黒子へパスをする。
そして、そのパスを黄瀬の背後で火神にパス。
そのまま火神はゴールネットを揺らす。
「オッケナイッシュー！」
そしてまたボールを火神がもち、黄瀬がマークしているパターンへ入る。
さっきの事があったから黄瀬は警戒する。
が、黒子のパスは火神へ帰るわけではなく日向先輩へと向けられる。
そのボールを貰った日向先輩はゴールネットに狙いを定め天高く打ちネットを揺らした。
「来たぁー３Ｐ！！３点差！！！」
今までは黒子のパスと火神の１ｏｎ１はあくまでも別々の攻撃パターン。
ただの二択に過ぎなかったが、パスで繋がった事でお互いの選択肢が増え前より一段上の攻撃力になる。
そしてその要である黒子は黄瀬が動きをコピーできない。
きっと２人ならばできる。
「黒子っち・・・」
「・・・黄瀬くんは強いです。僕はおろか火神くんでも歯が立たない。でも力を合わせれば・・・２人、いや３人でなら戦える」
「（３人って俺も入ってるのか、黒子）」
「・・・やっぱ黒子っち変わったっスね。帝光時代にそんなバスケはなかった。けどそっちも俺を止められない！そして勝つのは俺っスよ！真白っちも頂きます」
黒子たちの連携を黄瀬はコピーして返す事はできない。
が、黒子の力は４０分フルに持たない以上ジリ貧になるだろうと黄瀬は踏んでいる。
しかしそれはどうだろうな、黄瀬。
黄瀬はパスを貰い、攻撃に移ろうとする。
が、そこに立ちはだかったのは火神でも水戸部先輩でもなかった。
「なっ・・・！」
黄瀬の前に立ちはだかるは黒子。
周りはざわめき始める。
それはそうだろう。パス以外はからっきしの黒子が海常のエースである黄瀬のマークだなんて誰もが思わない事だ。
「・・・まさか夢にも思わなかったスわ。黒子っちとこんな風に向き合うだなんて」
「・・・僕もです」
「どーゆーつもりか知んないスけど黒子っちに俺を止めるのは無理っスよ！！」
黄瀬は黒子を抜いてドリブルを始める。
がその動きをまるで予想していたかのように火神が前に立ちはだかる。
黄瀬、違うな。
別に俺たちは止めるつもりはない。獲るんだ。
「なっ！？」
黒子による背後から黄瀬の腕の間に手を滑り込ませてのバックチップ。
火神のヘルプで怯んだ一瞬の隙を狙った観察眼に秀でてる黒子だからこそできる技。
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