火神は後ろにフェイダウェイをし、黄瀬の動きを微かに止めてシュートをうつ。
がしかし元々俊敏性が高い黄瀬はすぐに追いつき、シュートを止めるどころか味方ボールになる。
次に黄瀬がボールを持ち火神よりもキレのいいフェイダウェイで得点を決める。
「本当に黄瀬くんって厄介ね・・・」
「それが黄瀬のバスケなんで。それよりカントクTO取りませんか。一旦アイツらの頭と体を沈めないと」
「っええ。そうね。勿体ないけど渋ってる場合じゃないわ」
カントクは審判の方へ向いTOの申請に行く。
マズい。思ったより黒子の体力が消耗している。3Q終わるまでもつかすら危うい。
「誠凛TOです!」
審判のストップで試合は一時中断。
選手たちはベンチへと向かう。
尋常じゃない汗をかいて先輩たちはベンチに座り、飲み物を飲む。
ふと黒子の方を見ると予想以上だった。
「大丈夫か、黒子」
「正直・・・大丈夫じゃないです。もう効力が薄れてきてる」
「だろうな」
「えっ2人で何話ししてるのよ!効力が薄れてきてるって何!?」
「予想外のハイペースで効力が薄れてきているんです。僕のミスディレクション」
そう。黒子の使うミスディレクションは元々40分も持たない物。
他の物に気をそらすだけの簡単な技法だが、それが消えたように見せかけるのは黒子の並外れた観察眼でこれと同じことを連続で行う。
消えたと錯覚すればするほど自分をウスめていきパスの中継役になる。
けど使いすぎれば慣れられて効力は薄まる。
それが今の状態。尚且つ体力の少ない黒子にとってはただプレイしてるだけでも辛い。
「そーゆー大事な事は最初に言わんか〜!!久遠くんも知ってたなら言いなさいよ!」
「すみません・・・聞かれなかったんで」
「聞かなしゃべれんのかおのれはー!!」
カントクは黒子の首を絞める。
話す状態じゃないし、それに話す前に逝ってしまいそうだ。
そうしているうちに終了を合図する笛が鳴る。
「TO終了です!」
「あ〜!黒子くんシバいて終わっちゃったー!」
ゾロゾロとコートへ戻る先輩たち。
火神はカントクの顔を見ずに口を開く。
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