空気は一瞬で凍りつく。

だろうとは思っていた。コイツが挨拶ごときで帰るわけがない。

黒子とは教育係からの縁もあってかアイツの中で一番二番目ぐらいに思い入れもある。

しかし俺もか。

お前とはクラスメイトの関係しかなかったのになぁ。

バスケも体育とたまにの部活のミニゲームしかやってなかったがな。


「マジな話黒子っちの事は尊敬してるんスよ。こんなところじゃたからの持ち腐れだって!それに真白っちは俺と一緒にプレーするって約束果たしてもらってないし」

「それ体育の時の話だろ。部活にまで持ってくんなバカが」

「うっ・・・だって一緒になったことないじゃないっスか!一緒で海常でやろうよー真白っちぃ〜」

「そんな風に言ってもらえるのは光栄です。が、丁重にお断りします」

「文脈おかしくねぇ!?」


黒子は馬鹿丁寧にお辞儀まで加えて、丁寧に断った。

じゃなかったら俺が誠凛に黒子を誘った意味がない。


「そもそもらしくねぇっスよ!勝つことが全てだったじゃん」


そう、勝つことが全て。

それが帝光のスローガン。そこに楽しむとか悔しい、なんてものはない。

呼吸のように勝利を求める、ただそれだけ。

そのことを疑問に思った黒子だからこそ今誠凛にいる。


「あの時から考えが変わったんです。それに僕は火神くんと真白くんと約束しました。君たちをキセキの世代を倒すと」


ピクリと黄瀬の口元が動く。


「・・・やっぱらしくねーっスよ。そんな冗談言うなんて」


ハハっと火神は高笑いをする。

そして自分の前にいた黒子の体を手でどけ黄瀬をしっかり見据える。


「俺のセリフとんな黒子」

「冗談苦手なのは変わってません。本気です」


海常との練習試合はすぐそこ。




(黒子っちはしょうがないとして真白っちは頂いていくっスよ)

(許しません。火神くんと真白くんとって僕言いましたよ)

(すまんな、黄瀬。そもそも黒子を誠凛に誘ったのは俺だから)

(ええー!そんなのナシっ!)


かつての友は今日の敵




 




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