2年生は点取り屋の火神をマークすればいい。
そうすれば後はパス以外てんでダメの黒子と他3人。
戦力は大幅ダウンする。
こうしている間に15対31と逆転された。
「やっぱり強い・・・」
「てゆーか勝てるわけなかったし・・・」
「もういいよ・・・」
「もういいってなんだそれオイ!」
今までの2年生のガードと黒子のプレーによほど頭に血が上っていたのか降旗の一言でナニかが切れ、降旗の胸元を掴む。
黒子はそんな火神の背後に立って膝カックンをする。
「落ち着いてください」
「んだとぉ」
火神の気持ちも分からないでもない、がバスケはチームプレーの種目だから目に余るものもある。
そろそろ俺もでるか。
俺はジャージの上を脱いでTシャツの上からビブスを着る。
「河原。俺と変わって」
「いいけど久遠お前できんのかよ?」
「・・・できる。あと福田も降旗も黒子に適当にパスだしてやってくれ」
「は?」
残り3分。
黒子は福田から貰ったパスをボール下にいる降旗へと繋ぐ。
まるで消えたかのようなパス。
パスを貰った降旗は一瞬驚くがすぐにボールを打ってゴールネットを揺らす。
「えっ」
「な・・・」
「入っええ!?今どうやてパス通った!?」
これが影の薄い黒子の性質を利用した黒子だけのバスケ。
存在感の無さを利用しパスの中継役になる。
ミスディレクション。
手品などに使われる人の意識を誘導するテクニック。
体力も筋肉も見せるプレーもない黒子が強豪校である帝光でレギュラーでい続けた理由。
パス回しに特化したキセキの世代幻の6人目、黒子テツヤ。
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