「なんでソイツの前に立つんだよ!」


七貴は兄貴に食ってかかる。

兄貴はそんな七貴を軽くあしらうように言う。


「お前は能力のコントロールがドヘタだから当たらないと思っていた」

「別に当たって盾で防げれると思ったしな」


PSI能力者から殺人者を出すのは避けたかった。

これが本音。


「うっ・・・」


女性がうめき声を上げる。

よく見ると肩から出血が見られる。

擦過傷か。さしずめ七貴の能力の暴走時に巻き込まれたんだろう。

七貴は慌てて携帯を探す。

が、兄貴はその女性に近づき手を傷口の近くに持っていく。

まばゆい光と共に女性の傷が癒える。

俺も使える能力、直接治癒(アクセスヒーリング)。

七貴はその様子を驚いた様子でまじまじと見る。


「常識で理解できない事は人間に神秘を敬う心や恐怖心を与える。PSI能力者(俺たち)も紙一重。使い方によって人を生かす事も殺す事も可能」

「この男が言ったように俺たちはいつだって化物(モンスター)にだってなれるんだよ、七貴俊輔」


そう、石動のように。

その言葉は胸の中に留める。

しばらくすると警察隊が飲食店へと入ってきた。もう俺たちの仕事じゃない。

俺たちは人質が店から出ていくのを見届けて出て行った。


「よお!青、それに真白。ご苦労さん」


群寺さんは俺たちを見つけるなやいなや兄貴に肩を回し愚痴を零す。

こればっかりは俺らに言われても困る。


「こいつがお前に声を送った能力者か」

「念力・念動作用(キング)、気流能力(ヘブンス)、それから遠隔移動(テレポーテーション)のLv.3をやってのけた」

「そいつは中々優秀じゃねーか」

「ただしコントロールはかなり微妙。一般人に怪我負わした」


七貴は話題においてけぼりにされているのが嫌なのか説明しろ、と吠える。

いくらでも説明は群寺さんがするだろうが本当に血の気が多いヤツだ。









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