遠隔移動(テレポーテーション)で一足早く七貴が向かったであろう店の中に入る。

七貴を探すためにあたりを見渡すと、そこには今にも掴みかかりそうな顔をした七貴が居た。


「てめー俺を車で吹っ飛ばしたヤツだろ!!」


ドン!!


犯人の足元が凹む。

ったくコントロールが出来てない癖に無闇矢鱈に能力使いやがって。

犯人は銃のトリガーを引き、七貴に向かって発砲する。


「この化物がっ!」

「しまっ!」


発砲した弾は七貴には当たらず、兄貴の変形(ドミニオン)した扇によって払われる。


「貴様に化物呼ばわりされるのは気に食わん!」

「兄貴!」


七貴は兄貴の長い髪を掴み邪魔すんな!と吠える。

しかし今七貴が遠隔移動(テレポーテーション)できたかと言えばできなかっただろう。

アイツは能力者である事も分かっておらずコントロールもままならない。

だから、信号機を落としたり、バスケットゴール破壊した。

兄貴が助けに入らなかったら最悪の事態だって考えられた。


「俺はそいつがムカつくだけなんだよっ!」

「くっ・・・」


七貴は未だに感情をむき出しに能力を使い暴れる。

犯人の銃が能力によって手を離させたのはよかったとは言えども。

そのまま七貴は犯人の元へ歩く。

犯人は怖気づき後ろへと下がっていく。


「やめろ!後は警察に任せておけ!」

「引っ込んでろ!ガキが!」


兄貴は叫ぶが七貴の暴走は止まらず逆に俺や兄貴にまでも攻撃を始める。

足元が凹み、窓ガラスが割れる。

俺たちだけならまだしも一般市民もいるこの場所。

完全に頭に血が上ってる上にアイツは俺と同じ攻撃タイプの能力者。

これ以上人を怪我するわけにもいかない・・・。


「人に怪我させておいて平気な顔しやがって。同じ目に遭わねーとわかんねーんだよ!!お前みたいなヤツはな!!」

「ったく・・・」


七貴の周りに嫌な空気が舞う。

本気で人を殺す気か、アイツは。

俺は犯人の前に立ちはだかる。

兄貴も同じことを思ったのか俺の隣に立つ。


ドォォォン!!!


けたたましい爆音と共に俺たちよりも数cm離れた窓ガラスが割れた。









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