テストも無事に終えて部活が再開した。

結果?まあ半分より上ではあるよ。

変態2号、火神はこの前の足の怪我のせいで療養&見学。

しかしアイツがおとなしくしてるわけがなく。


「結城くーん。今日プール練来なくていいから代わりに火神くんの様子見てきてくれない?」

「えっなんで俺が!?それなら相棒の黒子に行かせろよ」

「黒子くんはスタミナ作りよ。私が休ませてあげるって言ってるんだから早く行ってきなさいよっ」


カントクに押し切られて俺はトボトボと歩く。

出て行く時に渡された1枚の紙。

そこには火神が出現しやすいリストが書かれてあった。

ったくアイツが大人しく見学してればこんなことにならなかったのによぉ。

しらみ潰しに行くがどこにも見当たらない。


ダムダム


ボールの床につく音が聞こえる。


「ここは・・・」


カントクリストの最後の1つのストバス場。

ダメ元でもと階段を上がって来てみれば息を飲むような勝負が繰り広げられていた。

あの火神が押されていた。

青い短髪のガングロはつまらなそうに攻撃を繰り広げる。

強い。強すぎる。


「お前の光は淡すぎる」


そう言ってガングロはダンクを決めた。

その時、火神は一歩も動かなかった。否、動けなかった。

ガングロは着ていただろうパーカーを掴み俺の隣を歩いていく。

階段を下りきる音がするまでずっと瞬き1つできなかった。


「火神っ!?」

「っ歩先輩・・・見てたんすか」


その場にへたり込む火神の傍に寄る。

手足も震え、汗も尋常じゃない。


「お前、カントクからバスケすんなって言われただろ。何故した」

「アイツからふっかけてきた・・・ぶっ倒すつもりでやったのに負けちまった。勝てる気がしねぇよ」


あの変態さはどこへ消えたと言わんばかりの弱音。

ったく。耳も尻尾もへこたれやがって。

俺は火神の頭を一発、二発と殴る。


「ってぇ〜!!何しやがる!」

「うるせえ。一発は約束破ったカントクの代わりと二発目は心配かけた俺の分だ。ありがたく受け取っとけ!」


大事な試合前に何やってんだ。お前は。

血が頭に登るのもいいが大概にしとけってんだ。

俺はそのまま火神に背を向けて走り出す。


「先輩どこ行くんすか!」

「帰るだけだ。お前の様子見て来いってカントクに言われただけだし」


しばらく練習せずに療養してろ、と言ってストバス場を出た。

あのバカがっ。




 




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