入学式、始業式が終わった4月。

つい数日前まで部活勧誘に勤しんでいた俺らバスケ部も今日から後輩を交えて日本一を目指していく。

よし!心機一転がんばるぞ!と部室で小さくガッツポーズをして体育館へ向かう。

わらわらと新1年生がリコ・・・カントクの方を見て固まっていた。

あらかたマネージャーと勘違いしたんだろ。

俺たちの同級生相田リコはマネージャーじゃなくて立派なカントク様だしな。


「シャツを脱げ!」

「ええええええええ」


ほら始まったカントクの品定め。

男の裸を眺めてよだれ垂らすだなんて女子高生にあるまじき行為だと思う。

だけどそれがカントクだからしょうがない。

あ、カントクは恋愛対象にならんのかって?

ならねーよ。もうカントクは恋愛とか友情とかそういう域を達してるし。


「おい!結城!てめぇ遅刻しやがって!」

「ごめんてひゅーがぁー」

「ダァホ。先輩がこうじゃ後輩は後ついていかねぇよ」


ブチブチと俺を殴ってくるプッツン眼鏡は日向順平。

我バスケ部の主将で精神的な柱。


「はっ遅刻してちっ酷だなぁ・・・はっキタコレ!」

「全然来てねぇし意味分かんねぇよダァホ」


そんな日向に蹴られている残念なイケメンは伊月俊。

趣味はダジャレで中学校からの縁。

俺とカントクと日向と伊月は中学から一緒だ。


「ほーんと歩の遅刻癖は治んねぇなあ。なあ、水戸部」

「・・・(コクリ)」

「遅刻じゃねーし!コガ覚えとけよ!」


猫のような口をしている小金井慎二、そして誰も声を聞いたことがないがコガだけは意思疎通がうまくいってる水戸部凛之助。


「まあまあ。1年生が引いてるからそのぐらいしにようぜ?な?」


暴走仕掛けている俺らを止めるのは糸目の土田聡史。

この部唯一のリア充で爆発して欲しい。切実に!

彼女欲しいィィィぃ!


「黒子くんってこの中にいる?」

『あ!そうだ。帝光中の・・・』

『えっ!?』

『帝光ってあの帝光!?』


1年がざわめき始める。

俺は疑問に思ってカントクの方に近寄った。


「どうしたのカントク?」

「んー黒子くんってのがいないのよ。今日休みなのかしらねぇ?」


黒子?誰だそりゃ。


「黒子ってのはしらんけど、カントクの目の前に小さなワンコがずっと見てるぜ」


なぁ、とちょっと俺より低い頭にポンと手を置く。


「黒子はボクです」

「きゃああああああ」


あ、彼が黒子くんだったのか。

にしてもずっとカントクの目の前にいたのになぁ。





 




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