「くっそ忘れ物した〜!」


海常での練習試合が終わりいざ帰ろうとしたら忘れ物に気づいた。

皆には先に行ってもらって1人更衣室へ戻る。


「あれ、お前誠凛の・・・」

「笠松さん?」


まだユニフォーム姿の海常のキャプテン、笠松さんがカギを持ってそこにいた。

多分ここの鍵をかけるつもりだったんだろう。


「忘れ物か?」

「はい。すみません、もう終わったんで出て行きます」

「そうか。そういえば黄瀬が迷惑をかけて済まなかった。俺の監督不足だ」

「いっいえ。笠松さんが悪いわけじゃないですから」


笠松さんが深々とお辞儀をして謝るものだから俺も思わずお辞儀を返す。

なんていい先輩なんだ・・・!

誠凛は元々新設校で先輩というものがいなかったと言うのもあるが最近の変態共のせいで笠松さんが光って見える。

まるで菩薩のよう。

誠凛に来てくれないかなぁ。

なんなら変態1号と2号をセットであげるから笠松さんください。


「それでお前にまた迷惑をかけてすまないんだが黄瀬を呼んできてくれないか?」

「・・・は?」




黄瀬が初めて負けて泣いた姿を見たのは試合が終わってすぐの事。

それから何処かへ行ってしまって帰ってきてないらしい。

初めて負けるとかありえねーだろ。ホントむかつく。

俺は笠松さんから居そうなところを聞いてしらみ潰しに探す。


「んあ?」


最後の心当たりの水飲み場あたりから話し声が聞こえる。

1人、いや2人。

こそこそと校舎の影に隠れると黄瀬とすげぇ背が高い緑頭。

中々親しげに話しているが同じ中学だったのかな。制服が海常のものじゃないし。

はっ同じ中学、つまり変態1号と一緒・・・だと。

俺は身の危険を感じそっとその場所を離れようとした。

だがそれは叶わず。


「歩さん!?歩さんの匂いがするっス!?」

「はぁ?何を言ってるのだよ、黄瀬」

「歩さんは俺のご主人様っスよ。孕ましたいぐらいめっちゃ可愛いんス」


黄瀬は緑頭くんに俺の事をズラズラと紹介していくが内容はお聞かせできない。

なんせほぼR18の桃色話、というか妄想話だからだ。

俺の事を知らない緑頭くんが黄瀬の妄想話による俺を構築するまでに黄瀬を止めなければならない。

俺はぐっと拳を作って黄瀬の元へ向い殴りかかる。


「黄瀬ぇぇぇぇお前何人の事をずらずらとしゃべってんじゃああああ」

「歩さん!?やっぱいたん・・・ぐっふぉ」


ホモデルやってるとかどうでもいい事を頭から排除して思いっきり黄瀬の頬を殴る。

黄瀬が突然の事で尻餅をついて倒れる。

俺はその黄瀬に乗りかかって胸元を掴んだ。




 




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