『私・・・私っ結城先輩が好きです!』
「俺もだよぉ〜。藍ちゃん」
んーっと画面越しに顔を寄せる。
俺は女の子が大好きだ。
2次元であろうが3次元であろうが女の子であればなんでもいい。
しこたまシゴかれた部活の後のギャルゲは心癒される。
今やっているギャルゲが1人目のエンディングを迎えた。
年下のお姉さん気質も備えるクーデレ少女。
パッケージを手にとった時に端っこに映る彼女に俺はメロメロになってしまった。
「ぬふふふ。これは当たりを引いたみたいなだぁ。さて次の子行こう」
カチカチとクリックの音が部屋に響く。
OP画面が映され沢山の可愛い女の子に囲まれるように立つ主人公。
本当に羨ましい。
俺だって女の子に囲まれてウハウハハーレム生活を送りたい!
「モテたいなぁ・・・ハーレム・・・」
「じゃあその願い叶えてやろうか?」
「!?」
頭に直接叩き込まれる声。
驚いて部屋のカーテンを開けると黒い羽で空を浮いている小さな少年がいた。
とにかく窓を開けて招き入れる。
4月と言えどまだ寒い。
「モテたいならモテさせてやる。でもその代わり同等の対価を頂くよ」
黒い髪の赤い瞳を持つ少年は怪しげに笑う。
同等の対価だなんて某魔女みたいな事を言うなぁ・・・コイツ。
でも悪い話ではない。
俺の顔はモテる!って顔でもなく所謂平凡というヤツだ。
顔を整形してまでモテたくはない。
性格はぶっちゃけ言って女子から見ると酷いとは思う。
女好きってだけで立派なレッテルだ。
でもこれを治すことは俺の存在を否定することにもなる。
楽にモテさせてくれるなら対価だって安いものじゃないか・・・?
「・・・頼む。俺はモテたい!」
「よし。じゃあ契約成立だ。その契約の証としてこの液体を飲めよ」
少年が渡してきたのは無色透明の液体の入った小瓶。
蓋を開けて匂いを嗅ぐが匂いは無い。
「安心しろ。毒とかそういう類じゃねぇから」
毒・・・じゃないならいっか。じゃ、いっただきまーす!
ゴクリ
何も味はしない。水?
飲んですぐに何か体に変化が起きるわけでもないようだ。
これ騙されたんじゃねぇの?
「なぁっ」
後ろを振り向き少年に聞こうと思ったがあの少年は既にいなかった。
(んーまあ明日になれば分かるかな?)
(・・・)
事の始まりはここから!