IH予選。俺たちは初戦のお父さん率いる新協学園、実善高校、金賀高校を制した。

そして4回戦。明常学院を大差つけて勝利した。

体育館内がザワザワとざわめく。

向こうからやってきたのはオレンジ色のジャージに身を包む秀徳。

くまのぬいぐるみを片手にドヤ顔している尻間真太郎と、その隣に高尾和成。

つい先日の事を思い出して俺は鳥肌がたった。

火神は尻間、否緑間の前に立ちふさがる。


「よう。お前が緑間真太郎なんだろ?」

「・・・そうだが。誰なのだよ、君は?」


すっと火神はポケットの中から油性マジックを取り出し【せいりん10番火神大我】と緑間の手に書いた。

ぷっ、誠凛ぐらい漢字で書けよアイツ。

緑間は火神の予想をはるかに上回る行動に焦る。

そんな一連の様子を心の中で笑っているとツンツンと横腹を突っつかれる。

突っつかれた方向を見ると高尾が満面の笑みを浮かべていた。


「っ高尾!?」

「へへへ。久しぶりだね、歩ちゃん先輩。俺ずっと会えなくて寂しかったんだよ〜」

「俺は別に会いたくもなかったっつーの。離せっ」

「ふふふ。今は離すけど俺らの試合が終わったらちょっと秀徳の控え室来てくれない?歩ちゃん先輩の恥ずかしい事ココでバラしちゃうよ?」

「・・・分かった」

別にいいって言うならココでバラしてもいいよ?と高尾は言う。

最近恥ずかしいことだらけで何を言われるのかまったく分からないが俺は頷く。

じゃないと俺の将来が危うい!

こんなくだらない事で結婚できないとか死んじゃうし。


「ふふっ。歩ちゃん先輩なら言うと思ったー。待ってるね〜」


高尾は俺に手を振り秀徳の先輩たちの後を追った。

俺はギュっとTシャツを握り締め高尾と緑間を見る。


「先輩、どうしましたか?」

「・・・なんでもない。黒子、秀徳の試合見たらちょっと抜けるわ。カントクにも言っておくしよろしく」

「?分かりました」


コートから出て観客席へ向かう。

俺たちがキセキの世代を加えた秀徳の力に驚愕するまであと・・・









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