IH予選。

3年目にしてようやく勝ち取ったその座席。

宮地清志は武者震いをする。

強豪校とは言えど負けたら終わりの世界。

自分のミスで敗北に繋がるかもしれない。

頭の中が不安でよぎる。

携帯を開きカチカチと指で操作して1つの画像を出す。


「ああ、可愛いなぁ。アユちゃん」


イケメンな顔して彼はドルオタ。

伊月に負けず劣らずの残念なイケメンである。


「ん〜。宮地先輩彼女っすか?」

「ちっげーよ!勝手に見んな!」

「もーそんなツンデレ発言要らないですよー。見せてくださいって!」


高尾は宮地の携帯を奪う。

宮地は必死になって高尾を追いかけるが相手の方が一枚上手なのか携帯を奪うことができない。


「高尾ぉぉぉトラックで轢くぞぉぉ」

「先輩それだけは勘弁!って事で真ちゃんパス!」

「うわっなんなのだよ、高尾!」


その近くで座る緑間に宮地の携帯を渡す。

緑間はその携帯に映る1人の女性を見る。


「っ緑間ぁぁぁ返しやがれぇぇぇ」


宮地は力いっぱい緑間を押して、携帯を手放させる。

ようやく戻ってきた携帯に頬ずりをする宮地の姿を見て高尾は文句を言う。


「真ちゃん何してんのさー!」

「お前がいきなりするからいけないのだよ。それにしても宮地さん画面の子は彼女ですか?」

「っ・・・!ちげぇよ。つーか見てんじゃねぇ。バカ野郎。轢くぞ」

「えっ宮地さんの彼女!?見せて見せてー!」


こうなってしまった高尾は手がつけられない。

たった数カ月でひどい目に合わされていた宮地はため息を付いて画像を2人に見せる。

そこには栗色のゆるふわロングヘアーの少女が白いスカートを手で抑えて女座りで座っている画像だった。


「めっちゃ可愛いじゃないですか!?年下?年上?」

「しらねーよ。年も何もかも。ただ名前がアユってことだけだ」

「アユちゃんか〜。可愛いなぁ〜」


緑間はその画像をじーっと見つめる。


「どうしたんだよ、緑間」

「いや・・・ただ知り合いに似てるなぁって思っただけなのだよ」

「知り合いっ!?お前アユちゃんと知り合いなのか!?」

「えっこんな可愛い子と知り合いとかどういうことなの真ちゃん!?」

「高尾もよく見ろ。バカめが。歩さんに似てないか?」


緑間にさとされ高尾はじーっと見る。

恥ずかしそうな顔。そして抑えている白くて長い指。

言われてみれば先日衝撃な出会いを果たした彼に似ていた。




 




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