俺はリコに洗いざらい昨日の事を吐かされた。
リコが途中鼻血を垂らしたのは見なかったことにする。
「で、体が辛くなって帰ったと。そういうことね」
「ハイ・・・すみませんでした」
思わず萎縮する。
周りにはあの女の子たちはいない。
流石に可哀想だとリコが人払いしてくれたようだ。
リコは1つため息をついて俺の頭に2つの拳骨を当てる。
「事情が事情だとしてもまだ話のわかる私にだけでも連絡欲しかったわねぇ〜」
「イタタタタごめんなさい、ごめんなさい〜!」
拳骨グリグリをされて痛みに悶えている間に背中、というか腰あたりに何か重みがきた。
この腰触りといいアイツだ。アイツしかいない」
「カントクそれぐらいにしてください、僕の先輩が痛そうです」
「きゃあ!いつの間にいたのよ黒子くん」
「ついさっきです」
「黒子先行きやがって・・・」
腰に抱きつく黒子とその後ろにいる火神。
そしてそんな俺たちを見てキャアキャア言ってる自重を忘れた腐った女の子たち。
中々カオスな中にカントクは口を開く。
「アンタたちもたまには自重って事を覚えなさいよ。そろそろIH予選なんだからしゃきっと練習しなさい」
「すみません。でも先輩関連だけは譲れません」
「俺もだ、です」
「アンタたちに真面目に頼んだ私が馬鹿だったわ。1回戦で1Q中に10点以上点差つけたら結城くんを好きにさせてあげる。だから今は練習に専念すること」
「ちょ、リコ!」
お前何勝手に約束付けてんだ!
黒子と火神は目を光らせリコの肩を掴む。
「それは本当ですね?」
「えっええ・・・」
流石のリコもタジタジだ。
「じゃあ勝ちますから待っててくださいね、先輩」
「10点どころか20点でも30点でもつけてやらぁ」
チュっと両頬に生暖かい柔らかい感覚を残し2人は教室を出て行く。
教室には呆然と立ち尽くしている俺と腐った女の子の悲鳴、何も事情を知らない残りのクラスメイトの唖然とした視線だけが残った。
(ここまでとは・・・やっぱIH優勝の方がよかったかしら)
(そういう問題じゃねーだろ!何言ってんだよリコォ!)
(・・・伊月、今俺たちは何を見たんだろうな)
(何も見てないさ、日向)
飴と鞭の使用方法は正しく!
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