カントクは黒子にシャツを脱ぐよう促し、また品定め中。
その時黒子はじっと無表情で俺を見つめていること、その瞳が欲で埋もれていた事も気づかなかった。
「・・・シャツいいわよ。黒子くん」
「はい」
カントクの一言で黒子はまたシャツを着る。
黒子は筋肉もついてなく貧相な体でよく王者と呼ばれる学校で試合にでれたなぁと感心する。
くるりとカントクの方から俺の方へ体を向ける。
「先輩、あの名前は?」
「ん?おお。結城歩だ。これからよろしくな」
黒子に手を差し出す。
その手に黒子は両手で握り返し、ブツブツと俺の名前を繰り返し呟く。
何やら様子がおかしい。
それは俺だけじゃなく近くにいたカントクや後ろにいる1、2年も思ったことだ。
「歩先輩!僕と付き合ってください!」
「・・・え?」
「はぁ?」
俺と日向の声が重なる。
外野はざわめき始めた。
意味が分からない。ツキアッテクダサイ?
俺は思わず黒子の手を離す。
「どこに付き合うんだ、黒子。スポーツ用品店か?」
「いえ。正確には突き合いましょう。先輩が僕のじゃないと満足できない体にしますから。さあ、行きましょう」
ピシリ
体育館内が凍った。
つ、突き合う?僕のじゃないの満足できない体?
ハハハっ。コイツ何を言ってるんだ。
おい。カントクなにぷるぷる震えてるんだよ。
お得意の逆エビをコイツにかませよ。なぁ!
日向、眼鏡ずれてるぞ。
伊月も何ぽかーんと口あけてるんだ。残念なイケメンがもっと残念になってるぞ。
コガぁ!なに笑ってるんだ!水戸部止めろ!!
「エ・・・エットクロコクン。オレオトコダシオコトワリスルワ」
思わずカタコトになる。
冷や汗たらたら、心臓バクバク。
DT消失の前に処女消失の心配をしなきゃいけないとか笑える。
黒子はどんどん俺に近づいて離したはずの手を握り締め真剣な顔で言う。
「大丈夫ですよ、歩先輩。むしろ男で生まれてよかったって思えるぐらい快楽を与えますから」
そして顔が近づき、互いの息が顔にかかる。
つまり、
「〜〜〜〜〜!!!」
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