「ちょ、ちょ火神ウェイト!」

「・・・」


火神の尻をバシバシと叩くが火神は歩みを止めない。

もちろん黒子にも言ったがまったく聞く耳を持たない。

お前らは何をしたいんだ!


「火神くん。ここが一番いいと思います」

「おお」


ピタリと2人の足を止めたのは美術室。

今日はどこのクラスも使っておらずシン、と静まっている。

黒子は何処から手に入れたのか易々と鍵を開けて中に入る。

火神は俺を机の上に押し倒した。


「ってぇ〜。お前ら何しやがんだよ!飯もまだ半分も食ってないしよ」

「別に僕たちは先輩に聞きたい事があるだけです」

「聞きたい事?んなら屋上で聞けばよかったじゃないか」

「へぇ。歩先輩公開プレイとか好きなんだ」

「はああああ?何言ってんだよ火神。なんで質問が公開プレイになんだよ。それからどさくさに紛れてシャツに手いれんな」


もそもそと俺のシャツの下を這いずる火神の手を叩き出す。

いつもだったらその後黒子が火神を止めさすが今日はそれがない。

むしろ黒子は一歩離れた所でその様子を見ている。

ねっとりと舐められてるような視線。

なんだか気持ち悪くて体をよじる。

しかし、その視線が途中で消えた。


「じゃあお聞きしますけど、コレなんですか?」

「ん?っ・・・!!」


いきなり現れた黒子が携帯の反射を利用し俺の首筋に指差す。

黒子の指先に見えるのは赤い痕。

俗に言うキスマーク。

こんなものを付けて頂いた女の子なんて俺には思い浮かばず、代わりに赤い髪のヤツが脳裏に描かれた。


「僕たちと言うものがありながら浮気ですか?」

「ちっちげーし。ただの虫刺され。昨日田舎行ってたし」

「今は虫なんていねーよ。誰だ、歩先輩」


ジリジリと2人が押し寄せる。

いつも無表情の黒子は目にも光がなく倍以上怖いし、

火神はデカい図体による圧迫がくる。

自分の体が可愛い俺は意を決してヤツの名前を言った。


「せっ征十郎・・・」

「赤司くんですか。どうして知り合いなんですか?」

「従兄弟同士なんだよ。ヤツとは。黒子は元チームメイトなんだろ?」

「ええ」





 




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