クタクタになって神奈川の海常から帰ってきたのはもう夜の事。
さっさとシャワー浴びて寝よう。
そう思って家のドアを開けると家はバタバタと騒がしい。
「あっ歩!今からおばあちゃんの家に行くわよ!」
「へ?」
「今日おばあちゃんから集合命令があったから今から行くのよ。歩の荷物は私が用意しておいたからそのまま向かうわよ」
「えっえっちょっと訳わからないんだけど!」
「いいから行くのよっ!!」
訳が分からず母さんに引っ張られてあれよあれよと着いたのは京都のおばあちゃんの家。
ただでさえ練習試合と変態共に付き合わされてたせいで俺のHPは既に0に等しく。
玄関で座り込んだ。あー疲れた。
「あんた本当にバスケ部なの?体力ないわねぇ」
「うっせ!練習試合あった後に長距離移動なんて疲れるわっ」
「はいはい。あ、征十郎くん!」
「クソババァ話を聞けっ・・・はぁっ!?」
母さんが俺の話を聞かず忌々しいヤツの名前を呼ぶ。
アイツ今東京にいるんじゃねぇの?なんでここに居るんだっ!?
俺が混乱していると母さんの声に気づいたヤツがこっちへやって来る。
血のような真っ赤な髪に全てを支配するかのような目。
暴君のような事かセクハラまがいな事しか喋らない口。
正しくヤツだった。
「お久しぶりです、おば様。元気にしてた?歩?」
「まぁ。大きくなって!」
「・・・ほどほどにな」
「歩っ!」
「まあまあ、おば様落ち着いて。大叔母様がおば様を呼んでるみたいですよ」
「あら大変。征十郎くんこのバカをよろしく頼むわ」
「ええ」
俺抜きで話は進んでいく。
ヤツは母さんが離れた事を確認すると後ろから抱きついてくる。
「久しぶりだね。ちょっと痩せた?」
「さぁな。というかそんなとこ触んじゃねーよ、変態」
「変態とは失礼だなぁ。ただ僕は僕の歩が無事かどうかを確認しているだけなのに」
「死ねっ!」
俺はヤツのがら空きな横腹を殴った。
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