「調整といってもウチのレギュラーのだ。トリプルスコアなどにならないように頼むよ」
ただでさえ片面での試合にふつふつと湧き上がる怒りを抑えている俺ら誠凛バスケ部に拍車をかけるかのようにメタボ野郎は言う。
日向も伊月も怒りを顕に出すがそれ以上に出している奴がいる。
黒子は表情には出てないもののオーラが出てるし、カントクなんて表に見せれない顔してる。お前女の子!
火神は犯罪者のような顔しやがって。
もちろん俺もキレる。
ここに釘バットとか転がってたらメタボ野郎を撲殺してやったのに。
イライラしてると何やら黄瀬とメタボ野郎がもめ始めた。
耳を澄ませて話を聞くと黄瀬が出ると相手にならんとかアホな事を言いやがって・・・。
「あの人をギャフンと言わせてくれれば多分俺も出してもらえるし!俺我が儘言ってもいいんですけど・・・俺を引きずり出すこともできないようじゃ・・・『キセキの世代』を倒すとか言う資格もないしね」
黄瀬の挑発に黒子と火神の目が鋭くなる。
「オイ!誠凛の皆さんを更衣室へご案内しろ!」
つくづくカンに障る野郎だ。メタボのくせに。
俺らは部員によって更衣室へと案内される。
体育館から出ようとしたその瞬間黒子と火神はメタボ野郎を見て一言言う。
「そんなヨユーはすぐなくなると思いますよ」
更衣室に入った俺たちはカバンを勢いよく投げる。
「流石にムカつくなぁ・・・あの監督」
「調整だってさ、日向。俺らも十分見くびられてるもんだ」
日向と伊月は上着を脱ぎながらさっきのメタボ野郎について話す。
コガや水戸部やツッチーもお怒りの様子で。
一言も話さないけど背中でわかる。
「はいはい!怒るのは分からないでもないけど今は試合に集中!あのおっさ・・・監督にギャフンと言わせるわよ!」
「おお!!」
カントクが手を叩き士気を高める。
さて俺も脱ぐか、と上着のチャックに手をかけようとした。
「あ、結城くんは脱がなくていいわ。スタメンじゃないから」
「ええー!俺も試合出させてよー」
「文句言わない。でも結城くんに大切な事を頼みたいの」
「・・・大切な事?」
ニヤリとカントクが笑った。
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