昨日に引き続き午前中は浜辺での練習。
昨日よりかは慣れもあってなんとか動けるようになった。
「何やるかと思ってたら何考えてんだカントク?」
「いや・・・そりゃ多分砂浜練習の後だ」
汗まみれになってようやく練習が終わった。
着替えて体育館練習に行くぞ、と思ったその時。
「あ、結城くんちょっとこっち来てー?」
「えっ!?あ・・・あのっ俺着替えが・・・」
「大丈夫!大丈夫だからさっさと来なさい?」
カントクの笑顔が怖い。
目が笑ってない、目が笑ってないよ!?
伊月たちはから笑いしながら俺の背中をそっと押す。
「カントクの機嫌を今崩すと後がこええ。つーわけで」
「ごめんな、結城っ!」
「ぎゃあああああー!!」
「おほほほほ。皆は体育館に向かうこと!言いわねー!!」
「ウーッス!」
本当に女かと疑うほどの力で俺をズルズルと引っ張っていくカントク。
日向はいい笑顔で手を振ってやがる。
畜生!お前の大事なジオラマへし折ってやるからな!!
Another Side
秀徳高校男子バスケットボール部の監督、中谷仁亮は困惑している。
今朝、誠凛の若き女監督からの熱い申し出があった。
内容は午後からの体育館での練習の際に合同でできないかという事。
お互いの手の内を明かしてしまうデメリットがあるが、秀徳側の方が多いにメリットが多い。
誠凛の情報が圧倒的に少ないので今のうちに情報を1つでも多く取得できる事。
冬のリベンジのためにも秀徳側としてはむしろ嬉しい事である。
「うっうっ・・・」
では何が困惑しているのか。
隣にいる女子、いや男子生徒の事だった。
白地に黒のデザインの我が秀徳高校の女子制服を身に纏った男子生徒は紛れもなく誠凛のバスケ部員だったはず。
以前、必死な顔をしていた緑間と高尾、そして宮地に引きずられてきた男子生徒だった。
『今度の試合で誠凛に勝ったらコイツ転入させるんで今のうちに顔合わせだけでもっ!』とよく分からない緑間の我が儘を言われたのが印象的でよく覚えている。
「えっと・・・結城くんだったか?」
「ぐすっ・・・はい・・・」
「君は誠凛の部員だろう?どうしてここにいるんだ?しかもウチの女子生徒の制服なんか着て」
「実は、」
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