「っ・・・ん」
「どうしたんですか、先輩?顔色悪いですよ?」
「なんでも、ん、ねぇ・・・」
合宿へ向かうために電車で移動中の俺ら。
満員とまではいかないが、夏休み始めという事で旅行客やら帰省でこの時間にしては混んでいた。
ドア付近で黒子を庇うように立っていた俺は何者かに尻を触られていた。
つまり痴漢。
後ろを振り向きたいが怖くてできない。
近くに日向や伊月がいるけど男が痴漢されてるだなんて恥ずかしい事言えやしない。
っくっそ。痴漢プレイおいしいなんて叫んでた昨日の俺戻ってこい!
シバいてやるから!これ怖い、マジで。
「ん・・・ふっ」
「歩先輩どうしたんだ、ですか」
「火神か、なんでも・・・・ん、ねぇ・・・んぁっ」
火神心配そうに後ろから声をかける。
ん・・・後ろ?
おそるおそる腰の方を見ると真剣な顔の火神。だがその手は顔とは裏腹に俺の尻を触っていた。
「痴漢はお前かァァァ!」
「もうっ火神くんなんっで声かけちゃうんですか。分かるに決まってるでしょう」
「わりぃ。でもあんまりにも歩先輩が可愛くて」
なんと痴漢は火神だった。
しかも会話を聞いてると黒子もグルだったらしい。
ピロリン
近くで携帯の音がなる。
その音源は俺らに携帯を向けていた木吉だった。
「木吉先輩撮れましたか?」
「おおバッチリだ!結城の喘ぎ声も真っ赤な顔もバッチリ!」
「先輩それ送ってくれ、です」
「お前らぁぁぁぁ!!」
「結城!お前うるせぇ!電車の中ぐらい静かにしろダァホ!」
木吉は俺の痴漢姿をムービーで撮っていた。
それを黒子と火神に送ろうとしているのを止めようとしたが日向に怒られ俺の痴態は黒子と火神に渡されてしまった。
アイツらぜってぇ殺す!
「あー着いた」
「磯の香りが・・・ハッいそがねば!」
「カントクは?」
「色々持ち込むものがあるから車だと。あと伊月黙れ」
そんな事もありつつ合宿場のある場所へたどり着いた。
駅から歩いて数分。磯の香りがよりいっそ強くなる。
「おおー!海だー!」
「泳ごう!」
「合宿だ!!ダァホ!!」
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