「えー!おばちゃんこれしかないの!?」

「ごめんねぇ。さっき大きい赤い髪の男の子が全部買って言っちゃったのよ」


購買に行くとミルクフランスとホットドックしかなかった。しかも飲み物は牛乳。

しぶしぶそれらを購入して教室に戻ろうかと思っていたら昨日見た赤い髪の巨体がパンをタワーにして闊歩していた。


「お前昨日の・・・」

「あ?先輩?」


赤い髪の巨体くんは火神大我というらしい。

たしかにタイガーっぽいな。体が。


「先輩もお昼かですか?」

「なんだよその敬語。あーそうだよ。お前もそうっぽいな」


ウッス、と小さく火神は頷く。

話を聞くと帰国子女で日本の縦社会に慣れていないようだ。

変な敬語も頷ける。


「先輩一緒に飯食いませんか?」


後輩の嬉しいお誘い。

どうせアイツらはもう食ってるだろうしいっか。

俺は二つ返事で了承する。

見えないはずの犬の尻尾がはち切れんばかりにバタバタ振っているように見える。

なんだ。コイツは。タイガーという名の犬か。


火神に連れられて来たのは屋上。

まだ肌寒いのもあってか誰もいない。

俺と火神は適当なところに腰を下ろしパンの封を開ける。

牛乳を飲みながら火神の顔を見ると頬がパンパンに膨れ上がりもぐもぐ食ってる。

なんだ、コイツ。リスみてぇだ・・・!

犬じゃなくてリスなのか!

可愛らしい後輩の食べる様子もさておき俺も飯にしようか。

ホットドックの包みを開けてひとかじりする。


「ん?」

「い、いやなんでもないだです」


食べてると変な視線。

火神は何やら痛そうな表情でこっちを見る。

どっかいてぇのかな?

怪我でもしたんじゃないだろうな・・・カントクにどやされっぞ。

火神は頭を左右に振りまた大量のパンを食べ進める。


ホットドックを食べ終わり牛乳を一口。

ぼーっとしながら飲んでたため口から少し垂れてしまった。

慌てて舌で舐める。


「っ!」


最後に甘いもの。ミルクフランスを咥える。

フランスパンにしてはやらかいけど少し噛みごたえのあるそれは噛みちぎるのに一苦労する。


「んぐぅ・・・」


ようやく噛みちぎれて咀嚼する。

甘いミルクの風味たっぷりのクリームがまた美味しい。

半分ぐらい食べ終わっていたとき、火神はチョココロネを地面に置いた。

ようやくお腹膨れたのかなぁ〜なんて悠長に考えていたらふと視界が変わる。

清々しい青空、そして火神のはぁはぁと鼻息が荒い顔が視界に広がる。

えっちょ、ストップ!?


「か、火神ストップ!ウェイト!お前何してんだっ」

「何してんだってナニをするんだ・・・すよ。横でウインナーやら食べやがって。先輩俺を誘ってるのか?」


な、ナニってなんだよ!

誘ってなんかねーし第一それしかないんだからしょうがないだろうが。

とりあえず暴れてみるも俺の腕は一纏めにされているせいでうまく動けない。

くっそ体格差がモロに出てやがる。


「そんなにウインナー食べたいなら、俺の食べさせてやりますよ」

「お前のなんていらねーよ。そんな汚いもの出すんじゃねぇ、馬鹿犬が」

「嫌も嫌も好きのうちだろ?黒子も言ってたけど」


黒子ぉぉぉぉぉぉ!!!

お前は帰国子女に何教えてるんだよ!















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