愛の公式とスパルタ指導/伊月


「なー伊月。ここどうするんだ?」

「ん?ここはyを代入するんだ。そうすると・・・」


テスト週間。

部活も休みになって早々と帰宅し勉強する。

下位100位になると来週の土曜補修が待っていて、必然的に決勝リーグには出ることができない。

数学が死ぬほど苦手な俺はたったこの1教科のせいで半分かもしくは半分より下になってしまう。

決勝リーグ出場がかかっている今、俺は数学が得意な伊月に頼んで数学を教えてもらっている。

が、どうしても伊月が言っている事が暗号にしか聞こえなくて頭に入ってこない。


「ねー伊月ここ・・・」


また新しい問題がわからなくて例のごとく伊月に質問しようとすると伊月は今まで読んでいた本をパタンと大げさに音を鳴らして閉じる。

そして向かい合って座っていた俺をじっと見つめる。


「ねぇ。さっきから聞いてばかりだけど理解してる?」

「っ理解できねぇんだもん。伊月が何言ってるかさっぱりわかんないし」


代入?方程式?因数分解?関数?何それ美味しいの?

モジモジと机の下で指を動かしていると伊月ははぁと大きなため息をつく。


「あのね。分かる分からないは別として分かろうとするこここ構えが一番大切なんだ。それさえもないなら俺は教える意味はないんだけど」


水無月がそういう態度なら俺帰るよ、と伊月は帰る準備を始める。

俺は焦った。

あんなに怖い伊月を見たのは初めてだし、伊月見捨てられたと思うと涙が出そうだった。


「っ待って!俺頑張るから。頑張るから教えて・・・!」

「本当に?」

「うん。頑張る!1問でも多く解くようにする」

「じゃあ、」


1問間違えることに罰ゲームしようか。

伊月が言った言葉に目が点になる。









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