I would like to kill you. However, you love me. /キセキ
やめろ
「貴方が好きです、水無月さん」
「俺アンタの事好きだわ」
やめろっ!
「ねー俺の物になって?」
「水無月っち先輩付き合ってくださいっス」
やめ・・・
「水無月先輩好きなのだよ」
「燐さん。わかってますよね?」
やめてくれ!
「はっはっ・・・くっそ・・」
真っ暗な学校をシャツ1枚のみ羽織った状態で走る。
どうしてこんな間抜けな格好なのか、そもそも何故走る事になったのか。
全てはキセキと呼ばれる後輩のせいだと自分に言い聞かせて今は走るしかない。
捕まったら最後。もう俺は俺でなくなる。
事の始まりはきっと俺とアイツらが出会った事から。
「っだから嫌いなんだよ。生意気なガキどもめっ」
俺の叫びは静寂な闇によって消えていった。
部員100人を超える我が部活、男子バスケ部。
そこにはキセキの世代と呼ばれる化物どもがいた。
1年から1軍入を果たし今じゃ公式戦はこいつらの独壇場。
黄瀬が2年から入ってきたがアイツもすぐに俺たちを抜かしていった。
俺は3軍から始まりようやく2年の夏に2軍へ昇格できた。
1軍へ昇格、そんな話も上がったが3年の俺を上げるよりも来年も期待できる2年を昇格しようと俺の公式戦デビューの夢は潰えた。
例え日の目を浴びなかったとしてもバスケが好きな俺は頑張って練習に取り組んだ。
中学がなくても高校で、と胸に希望を抱きながら。
そんなある日。
俺はキセキの世代の1人黄瀬に呼び出された。
「んだよ。天才さまが俺に何の用だ?」
「怖い顔しないでくださいっスよ。水無月っち先輩」
黄瀬は茶化したような笑いで俺に近づく。
女子にキャーキャー言われている整った容姿に俺らが羨む程のバスケのセンス。
俺はコイツが1番嫌いだった。
「俺、水無月っち先輩が好きなんス。付き合ってください」
何かで頭を殴られたような衝撃が走った。
コイツは何を言っている?
何故頬を赤く染める。
「い、嫌だ。お前何言ってんだよ。ホモか。きめぇ」
「ホモじゃないっスよ。まあしいて言えば水無月っち先輩限定ホモっス」
だから付き合ってくださいよ。
黄瀬は真剣な顔でこっちを見てくるものだから怖くなって逃げ出した。
「1週間。1週間後に返事を聞きに行きますからそれまでに出しておいてください!」
黄瀬は叫ぶ。
返事?そんなもの最初からNOに決まってる。
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