※万引き表現がありますがけして犯罪をほのめかす目的ではありません。

 万引き行為ダメ絶対!




たった1つの過ち/キセキ


「なあ、水無月。ゲームをしようぜ」

「なんですか、先輩?」

「これをお前が成功できたら2軍に上げてやるよ」

「!?本当ですか!」


そのゲームとは、そこのスポーツ用品店での万引き。

どんなに小さいものでもいいから盗ってこい。そんな内容だった。

もちろん拒否はしたが相手は先輩。

最終的には脅されてスポーツ用品店まで無理やり連れてこられた。


「いらっしゃーい」


店の主人の何気ない声。

いつもだったら何も感じないが今日はそんな声さえも恐怖を誘う。

逃げ出したい。だけど、店の真向かいにあるコンビニで先輩たちは俺を見ていてできない。

それならば盗ってすぐに謝ろう。例えこれで部活ができなくてもいい。

そう決心して一番近くにあった粉末タイプのスポーツドリンクをポケットの中に入れる。

店の主人は後ろを向いていてこっちには気づいていない。

早く、早く。先輩の元へ行こう。

店から飛び出したその瞬間だった。


「君は3軍の水無月燐だね?」

「っ赤司・・・主将」


赤い髪をした我らが帝光バスケ部主将、赤司先輩。

オッドアイの目を光らせ俺の腕を掴む。

まさか・・・そんなはずはっ。


「今ポケットの中に入ってるもの見せて?」

「っ・・・」


ビクビクと震えながら携帯を出す。

もう片方のポケットからは飴玉の袋。


「まだ、あるでしょ?ねえ?」

「ご、ごめんなさいっ」


主将の圧力に俺は耐え切れずポケットの中に入っていた袋を取り出す。


「水無月、これがどういう意味かわかるよね?」

「まん・・・びきです」

「知っているのにやっちゃうんだ?子供よりタチが悪い。どうしようかなぁ」


退部だけならまだしもそれ以外の学校生活に支障をきたすような事があっては困る。

親や先生、友達になんて言われたら俺は。

真っ青な顔をした俺の顔を主将は見てニッコリと笑う。


「訳ありだろうから内緒にしててあげよう」

「えっ!」

「ただし、」


君には慰み物になってもらおうかな。

その言葉の意味が分かるのはそれから数十分後だった。











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