赤司夢【T/h/e B/e/a/s/t/./スペクタクルP】


知っていました。

貴方がとても臆病だって事を。

知っていました。

貴方がとても寂しがり屋だって事を。

だけど貴方は長く1人で生き続けていたからそれを表に出せなくなっただけ。


「今日出かけるの?」

「うん。食料の買い出しに。今日はご馳走だから期待してて」

「ふうん・・・僕に迷惑かけない程度に早く帰ってきなよ」

「分かってる」


僕が小さい頃に出会った貴方は俺が中年になっても出会った時の美しいままだった。

物心ついた頃だかに聞いたら貴方は魔法で死ねない体になったと言う。

初めて聞いた時はおとぎ話みたいだ、と笑ってしまったが今になっては酷い事をしたなと心の中で反省する。

俺は1年1年年をとり老いていくのに貴方はあの時のままだ。

そしていつの日か・・・


「ねえ、赤司。俺は君より先に逝きたくないなぁ」

「それは嬉しいね。僕を看取ってくれよ」

「うん。赤司の魔法がおとぎ話のようにキスで解けたらいいのに」


でもおじいさんのキスじゃ無理か、とから笑い。


「っ・・・さぁね」

「赤司泣くなよ。俺とお前が一緒に生きてきた時間はお前にとって瞬きをするぐらい一瞬だろう?」


そんな一瞬の時間のために綺麗な涙を流す必要なんてないよ。

目に貯まる涙を手で拭う。


「お前はどう思っていたかは分からない。だけど俺は赤司の事を愛してる」


返事はなかった。

なかった、のではなく俺が聞けなかったんだ。

だって俺は眠ってしまったから。


「っ僕も、僕も愛してる・・・」


隠し事をしてました。

それが愛だと知っていました。

しかし認めたくなかったのです。

本当は抱きしめて、口づけを交わして、触れ合いたかったのです。

だけどそれは僕の積み上げたプライドが許せませんでした。

だから、


「僕から逃げようだなんて許さない。何千年も生きてまた・・・」


(探し続けようじゃないか。また、君を)












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