「やあ、真白」
「おはよう。赤司」
靴を履き替えたところで赤司に会う。
こう朝早くからバスケ部に会う日はロクでもない日になる前兆で、今日は何が起きるのかと胸騒ぎがする。
「真白ちょっと部室来てくれないかい?話があるんだ」
「放課後?」
「いや、今から」
ほら、もう起こった。
部室へ赤司と一緒に向かう。
何故か黄瀬と紫原もついてくる。
後ろから嫌な視線が送られて今にも逃げ出したい心境だが、逃げ出し防止にと赤司は俺の手を掴み前を歩いているせいで逃げ出せない。
そうこうしている内に部室へたどり着く。
今日は朝練もないはずなのに部室には黒子、青峰、緑間がいた。
手も離された事だから踵を返して部室を出ようとする。
が、それは後ろにいる黄瀬と紫原が許してくれない。
また図られた。
「おはようございます、真白くん」
「おはよ・・・黒子。一体話って何?」
「おーそうだったそうだった。久遠、ポッキーゲームしようぜ」
「・・・ん?」
まるでバスケしようぜ、みたいなノリで青峰は軽く言う。
その言葉を皮切りにアイツらはポッキーを1つずつ手に持ち始めた。
思わず後ろに1歩ずつ下がっていく。
背中に柔らかいものが当たる。紫原だ。
「ごめん。お前らとする意味が分からないから帰らせろ」
「僕たちが真白とポッキーゲームしたいって意味があるし、帰らせるわけがないだろ?」
敦、と赤司は紫原の方を見る。
あいよ。と紫原は言って俺の肩に自分の腕を入れて持ち上げる。
ふわりと体が持ち上がり視界が上に上がる。
「俺はしたくないっ紫原離せっ」
「やだよー。俺も白ちんとシたいしー」
足をバタつかせて抵抗する。
が巨体はビクともしない。
俺を囲むようにアイツらは寄ってくる。
高級感を漂わせるフランを持っている赤司、
甘酸っぱいピンク色のパッケージのイチゴ味ポッキーを持つ黄瀬、
普通の赤いパッケージの黒子、
アクセントのあるナッツ入りパッケージをポケットに忍ばしている紫原、
パンダの可愛らしいパッケージを持つ青峰、
ビターチョコでコーティングされてるポッキーの緑間。
「さあ、どれでも好きなのから選べばいいっスよ!」
「断る」
「ああ。全部一気に欲しいって?やだなぁ真白がこんなに欲張りだって思わなかったよ」
「全部要らないって言ったんだ」
「赤司ー全部は入らねぇから久遠の下の口も使おうぜ」
「大輝それはいい案だ」
「お前らいくつだ!30過ぎのエロおやじか!」
本人そっちのけで話が膨らんでいく。
下の口ってなんだ、下の口って。
青峰お前はどんなAV見てるんだ。
紫原が油断している今ならとバタバタと足をバタつかせる。
案の定掴んでいる手の力が緩んできた。
今だっ
そう思った刹那悲劇は怒る。
ゲシッ
「・・・・あっ」
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