ここで待ってる。と体育館の隅を指差し赤司に呼ばれる2人の背中を押し座る。
それからぼーっと部活の様子を見ていた。
掛け声や赤司の指揮を取る声、部員の息が上がり乱れる呼吸の音。
バッシュの床を擦れる音やドリブルによる床が少し軋む音。
もうちょっと早めに来てボール触ればよかったなぁとか後悔もし始める。
バスケをやりたいのに見てるだけとか体に毒なのだ。
しかし時計を見るとアップしてるだけで部活が終わる時間になる。
悔しさもあるが仕方がないことだと自分に言い聞かせ首元に手を当てる。
その時だった。
「っ!?」
微弱な電気が全身を駆け巡る。そんな感覚が俺を襲う。
その電気が心臓を動かし心臓の鼓動がどんどん早まっていく。
「っはぁ」
息苦しい。
紫原に抱きしめられた時とはまた違う息苦しさ。
肩で息をするたびに体に熱がこもっていく感じがする。
風邪でも引いたか?この短時間で?
いや、それはありえない。
前兆も全然なかったし、風邪を引くような行動をした心当たりもない。
まるで変な薬でも盛られたような・・・
「まさか・・・」
思わず口を手に当てる。
今日は朝のトーストと昼の焼きそばパン、そしてチョコと飲み物しか口に入れていない。
兄貴がそんなことするわけないし、パンも飲み物も市販のもので封も開けられてない。
疑えるのは、そう。青峰から貰った時間指定つきのチョコのみ。
「ぁっ」
服が擦れるだけでも電気が走る。
その度に力がどんどん抜けていく。
もう俺の体には手遅れになるぐらい薬が染み渡っていた。
体が何もしてないのにビクビク跳ねる。
体育館にいる部員にバレないよう、特にアイツらにバレないようにと体を縮こまらせる。
が、その痩せ我慢も杞憂に終わる。
「どうしたんだい、真白」
「具合悪そうですね。大丈夫ですか?」
「手を貸すのだよ。立てるか?」
「真白っち顔真っ赤っスよ?」
「大丈夫〜?白ちん〜?」
「シロちゃん風邪?」
「はっ」
カラフルな頭をした7人が俺の前に立っていた。
俺はバレないように少しでも声が出ないように抑えるのに精一杯で7人が怪しく口角を上げていたことに気づかなかった。
(うっわエッロ)
(シロちゃん女の子より色っぽい)
(さあ。楽しいハロウィンの始まりだよ?)
trick and treat!
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