授業終了のチャイムが鳴る。
それは戦争の合図でもある。
教室の生徒の半数は立ち上がりある場所へと向かう。
そう購買だ。
購買ではおにぎりやパン、ジュース、お弁当などが買える。
この学校には学食もあるがこの棟からは遠く着く頃には列ができてる。
わずかな昼休みを列に並んで棒にしたくはない。
ましてや確実に椅子に座って食べれる、という保証もない。
だから購買でもみくちゃにされてゆっくり食べようと考えるのがうちのクラス。
今日は途中で買うのを忘れたから俺も参加。
「おばちゃん。これとこれ。あとこれね」
「あいよ。ほんじゃ合わせて300円だよ」
「はい。ありがと」
この時ほど俺の顔に感謝したことはない。
つり目でおまけに眉間に皺を寄せすぎて既にそこに戻らない皺が刻まれている。
おかげで普通にいるだけなのに怒ってるの?と聞かれる始末。
そしてあらぬ噂を建てられて今じゃヤクザの跡取りで薬を売ってる、と大きな噂が学校近所中に回っている。
廊下を歩くとすっと壁に寄られる、ヒソヒソ話をされる。
たまに先輩が喧嘩打ってくる。
非常に腹立たしいが購買に行くと売店の真ん中がすっと空いてくれる。
もみくちゃにされることなく楽に買える。
青峰はそのおこぼれをもらうようにピッタリと隣にくっついてパンやおにぎりを買い占めていく。
隣で『それ買うつもりだったのに』とか生徒たちの悲鳴が聞こえる。
「青峰、買えたか?」
「大量大量。真白も買えたみたいだし上行くか」
「ああ」
上、とは屋上のこと。
立ち入り禁止なはずの場所はいつの間にかバスケ部がちゃっかり昼飯・サボり専用に使っていている。
俺も青峰や黄瀬と話すようになってそこを使うようになっていった訳だが。
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