グーギュルギュル


前の席が五月蝿い。


「あー腹減った」

「青峰、五月蝿い」


否、前の席の青峰の腹の虫が五月蝿い。

健全な男子中学生たるもの空腹には勝てず青峰は机に突っ伏していた。

コイツは4限目になると腹の虫が鳴る。

そして昼食用の弁当は2限目に早弁する。

たった2時間の間にどうやって消費した、と思えるほどこいつの燃費は悪かった。

今日もまた五月蝿い虫が鳴いているのだった。


「真白ー。お前何か持ってないか?」

「飴しかない。ねだるなら斜め後ろの黄瀬に言え」


黄瀬は隣で女の子に囲まれていた。

甘ったるい声で『黄瀬くぅん、トリックオアトリート〜』と女子は黄瀬にお菓子・・・というかイタズラをねだってきている。

しかし黄瀬は去年も似たような事があって学習したのかカバンにどっさりとハロウィン用のお菓子を用意して学校に来た。

おかげでイタズラを回避しお菓子を手渡し、で済んでいる。

単純な女子は黄瀬からお菓子をもらったというだけで大喜び。

流石イケメンモデルは違った。


「ケッ誰がアイツのお菓子なんか食うかよ。だから真白、よこせ」

「だから飴しかないって言ってるのにコイツは・・・」


青峰は俺の言葉を理解してか知らずか後ろを向いて手を差し出す。

仕方がないなぁ。と呟き俺はカバンの中から飴を3個ほど青峰の大きな手に置いた。


「飴しかねーのかよー」

「飴しかないって言ったんだけど聞いてないのはお前の耳だろう?」


いらないなら返せ、と飴を取ろうとしたがポケットに早々と入れられた。


「いらねーとは言ってねぇ。ありがたく食べる」


サンキュ、青峰は小さく呟くと飴の包み紙を開けて口の中へ飴を入れる。









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