「敦。その話は内緒だろう?」
真横で聞こえる聞き覚えのある王者の声。
いつの間にいたんだ、と問いかけるのも恐ろしいぐらいに。
「赤ちん。おはよ〜。そうだったね、内緒だったね」
「真白おはよう」
「おう。おはよう。赤司、こいつ邪魔だから連れて行ってくれないか?」
腕を紫原の背中に回し背中を叩く。
紫原はエーっと声を上げギュっと抱きしめる力を強くする。
そろそろ息ができなくなるからやめろ。
背中をバシバシ力いっぱい叩くが何も状況は変わらない。
直接見えていないがきっと赤司のことだ。
優雅に笑っているだろう。お前の鋏を奪ってその髪の毛を切り刻みたいぐらいだ。
「敦。そろそろいいだろう。それに今はその時じゃない」
「・・・わかったよ。赤ちん」
「ふはっ」
ようやく紫原は俺から離れた。
自由に身動き、呼吸ができることに俺は少しだけ感動した。
まだ息が整わず肩ではぁはぁと息をする。
顔は真っ赤に染まり目にうっすら涙の層ができていて少し視界が潤む。
それにしても紫原は本当に赤司に従順なようだ。
俺がいくら言っても叩いても動かなかった巨体がいとも簡単に・・・
「んー。やっぱりエロいよねぇ。赤ちんもう俺食べたいー」
「敦。まだダメだ。美味しいものは後に取っておくほうがもっと美味しいだろう?」
「むっ」
息を整えるので精一杯な俺はこんな会話を2人がしていることは知る由もなく。
キーンコーン
予鈴のチャイムがなる。
廊下にいた生徒たちは慌ただしく自分の教室へと戻っていく。
もちろん俺たちも
「真白。また屋上で」
「ああ。昼休みな」
そう赤司と交わし俺も教室へと入っていった。
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