「今日はハロウィンだからイタズラされないようにな、だそうだ」
「え、なにそれ。どういう意味?」
「知らん。俺に聞くな」
兄貴は椅子に座り黙々とトーストを食べ始める。
そうか。今日はハロウィンか。
ハロウィンの本当の意味を知ってか知らずか、お祭り好きの日本人は便乗するように始めた。
町やスーパーがオレンジ色に色付きカボチャやお化け等が目に付くのはそのせいかと俺は納得した。
「誰も俺にイタズラするような物好きはいないってのにな」
俺にする場合はイタズラ、などと言った可愛いレベルじゃないだろう。
釘バットとかそういうのを持ってこられてのリンチに発展しそうだ。
「さあな、でもこの前居た黄色い大型犬なんかはするんじゃないのか」
兄貴は食べ終わったのか皿をシンクへと持っていく。
大型犬・・・黄瀬のことか。
「あーアイツね」
「この前の様子を見ているとお前に大分懐かれているように見えるしな」
あれは懐かれてるでいいのか、と兄貴の言葉に疑問を持つ。
ふとTVに目を向けると緑間が命をかけてる番組、おは朝占いが始まろうとしていた。
もうこんな時間なのか。
「じゃあ兄貴行ってくるよ」
コーヒーを一気に飲み干し、群寺さんがくれた飴をカバンの中にいれ椅子から立つ。
「ちょっと待て、真白」
「なに?早く行かなきゃ遅刻するんだけど」
兄貴は意味ありげな笑みを浮かべ俺に手を差し伸べる。
「トリックオアトリート?」
ハロウィンはもう、始まっていた。
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