ピピピ

目覚ましの五月蝿い音が鳴る。

俺は布団からもぞもぞと腕だけを出して手探りで目覚まし時計を探す。

ようやく見つけた時計のボタンを押し、五月蝿い音を止める。

カーテンから覗く眩しい光が顔に当たり布団を頭からかぶる。

まだ寝かせて欲しい。それが本音。

ただしこの家に住む住人がそれを許してはくれない。

規則的に鳴るドアの音。

俺以外のこの家の住人・・・兄貴が俺を起こしに来た。


「ほら、真白。起きろ」

「ん・・・」


布団をめくられて、体全体を外気にさらされる。

一気に寒気が襲ってきて嫌々目を開け、上体を起こす。

微睡みながらも目をこすり、兄貴の顔を見上げる。


「コーヒー入れたから起きろ」

「ふぁい」


兄貴はくしゃりと俺の頭を撫でて俺の部屋を後にする。

その姿を目で追い、見えなくなってようやくベッドから離れた。

よろけながら、壁に掛けてある制服を手に取る。

水色のシャツに黒いネクタイ白いジャケットを羽織って着替えは終了。

洗面所に頭をぶつけながらもたどり着き、冷たい水で顔を洗う。

でもまだ目が覚めない。

リビングのドアを開けるとコーヒーのいい香りが鼻をくすぐる。


「ほら、真白」

「ありがと。へへへ」


兄貴から渡される白いマグカップに注がれているコーヒー。

一口飲むと口に広がる苦味と酸味のいいバランス。


「目が覚めたか?」

「うん。やっぱ兄貴の入れてくれたコーヒーが目が覚めるや」


朝が弱い俺は兄貴の入れてくれるコーヒーで目を覚まさせる。

また一口コーヒーを飲んでテーブルに置き椅子に座る。

テーブルにはトーストが1枚皿に乗っていた。

そのトーストをかじりながらなんとなくついているTVに視線を移す。

毎日起こる殺人事件に官僚の問題。

それらを耳に流しこんがり焼けているトーストを一口、また一口と咀嚼する。


「そういえば昨日群寺さんからお前に預かっているものがある」

「え?」


思い出すように兄貴は部屋に戻り1つの飴玉の大袋を俺に渡す。









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