歩 Side
まずいまずいまずい。
俺は布団を頭の上からすっぽり被る。
どんなラノベだ。漫画だ。ギャルゲだ。薄い本だ。
こんなベタな展開あってたまるか!
征十郎にもこれまたベタな理由をつけて行けないと連絡した。
親戚が危篤で、は従兄弟の征十郎がいる時点でアウト。
部活が、も黒子がいるからアウト。
他に理由が思い浮かばず結局風邪とベタな理由を書いて征十郎に送った。
ピンポーン
「赤司っちー。いないっスかねぇ?」
「そんな訳はないだろう。こんな朝早くに歩が行動するわけがない」
「昨日おばさんが夜勤らしいのでゆっくり寝てられますもんね」
なんで知ってんだ黒子!
そして征十郎その通り。基本夜行型人間の俺が朝早くから起きて出かけることはない。
イベントと部活以外でな。
ガチャガチャと鍵を開ける音が聞こえる。
そういえば征十郎合鍵母さんから貰ってたよな・・・つーことはヤバい。
階段の登ってくる足音が近づいてくる。
ベッドから降りて、押し入れにすっと隠れた。
「歩っさーん!愛しの涼太がやってきたっスよーってあれいない」
「本当なのだよ」
「結城サンの部屋って本だらけだな・・・ってこれユイちゃんの写真集。見たかったんだよな〜」
「青峰くん勝手に人の私物見るのはよくないですよ」
「タンスに入ってる歩ちんのパンツ被ってる黒ちんに言われたくないよね、それ」
「失敬な。僕は先輩の匂いを嗅いでるだけですよ。洗濯しても取れないアンモニアの香りとか」
「何それ嗅がせて!?」
人の部屋を好き勝手に漁り始める、6人。
ゴ●ブリ、ユイちゃん好きなのか。ちょっと好感度アップだわ。
黒子と紫原はボコし決定。
それよりも一番怖いのは静かな征十郎。
何をしでかしてくるか予測不能なコイツは静かな時が一番怖い。
それは長年不本意だが付き合っている俺がよく知っている。
毛布をかぶってドキドキしているとガラガラと押し入れが開いた。
眩しい蛍光灯の光が暗い押し入れに入る。
「見つけた、歩」
「みっ見つかったぁぁぁー!!」
俺を見つけた征十郎はニッコリと笑い俺の腕を引っ張った。
突然のことで体をくるんでいた毛布がはらりと落ちる。
そして顕になったんだ。俺の頭についている猫耳と尻についてる尻尾が。
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