変態その1、日向順平の場合

帰り道、スタスタと歩く音と同時に背後からヒタヒタと何か着いてくる音がする。
立ち止まる。振り返る。誰もいない。確認してから俺は再び歩き出す…と見せかけてのフェイントぉお!!

「おい日向!毎日毎日後ろをヒタヒタヒタヒタと…着いてくんじゃねぇこのストーカーが!!」
「くそっ、バレたか」
「バレたか、じゃねーよ!バレバレだ!怪しすぎるわ!」
「俺は燐に悪い虫が付かねぇようにしてんだよわかれダアホ!」
「現在進行形でお前という名の悪い虫に付かれてるわああああ!! 」

迫ってきた日向を鳩尾に蹴りを入れる事により沈める。ぐったりした日向は動かない。
こんなやつ放置だ放置。
そうして俺は日向に目もくれず帰地についた。

日向順平、ありがちストーカータイプ


変態その2、水戸部凛之助と小金井慎二の場合

「燐おっはよー!」
「………」

欠伸を噛み殺しながらの通学中。後ろから抱き付かれた衝撃と右手にぬくもり。
コガと水戸部だ。こいつらはスキンシップが激しい。

「何が悲しくて男と抱き合い手を繋がにゃならん。今すぐ離れろ離せ」
「えー、いーじゃん減るもんじゃないしー」
「………(すりすり)」
「力強くするな手を擦り寄せんな!」
「食べちゃいたいなぁ…」

ぼそっと危ない発言をしたコガと手を擦り寄せてくる水戸部に俺はキレた。

「さっさと離さねぇとお前らのフランクフルトちょん切るぞゴラァ」
「ごめんなさい」
「……!?(ばっ)」

小金井慎二は抱き着き魔、水戸部凛之助はセクハラ魔


変態その3、伊月俊と相田リコの場合

「それでここの燐くんがイくとこの描写はね…!」
「それ、いただき!」

何やら不穏な発言が聞こえたぞ変態ども。俺は2人の背後に忍び寄って伊月に抱き付いた。

「なーにしてんのかな?2人とも!」
「うわああああ!?」
「きゃああああ!?」

2人は驚いて悲鳴を上げつつあわてて何か薄っぺらい紙の束を隠した。その内の一枚をひったくる。

「な、ん、で…俺が日向に犯されてる絵が描かれてるのかな?かな?」

「しょ、しょーがないじゃない!あんな目の前でイチャつかれたら!」
「ネタにしてくれと言ってるようなもんだろう!?」

ぷっちん。何かが切れる音。

「断じてイチャついてなんかねええええ!!」

ビリィッ

「「ああああああ!!!原稿うううううううう!!!」」

伊月俊、相田リコ、人をネタにする腐った果実


変態その4、木吉鉄平の場合

「うわああああん木吉いいいい!!つっちいいいい!!」

様々な変態野郎どもに迫られて俺はもう心がズタボロだった。天然だが唯一常識人な木吉と彼女持ち常識人つっちーに泣きついた。

「燐も大変だね…」
「つっちー…」
「俺達がいるから元気だせ!な?」
「木吉…」

木吉の大きな手が撫でてくれる。それに思わずうるっとくるが、我慢だ我慢。

「もう限界…日向は毎日着いてくるしコガと水戸部はセクハラしてくるし伊月とカントクは傷抉ってくるし」
「燐…」

すると突然木吉がぎゅう、と抱き締めてきた。あいつらとは違う、欲望に濡れたものではなく優しさに溢れた抱擁に俺はぽかんとする。

「す、すまん!日向達が散々やっているのに俺までこんな…」

しかしそれは謝罪と共にすぐに離れる。なんでか離れてほしくなくて、眉をさげ謝ってくる彼の学ランをぎゅっと掴み今度は俺から木吉に抱き付いた。

「……燐?」
「木吉ぃ…」

彼の体に顔を埋める。隣にいるつっちーも慰めるようにポンポンと頭を撫でてくれて俺の涙腺は遂に決壊した。

「う゛ぅー…!」


「「燐…お疲れ」」

木吉鉄平、唯一常識にあふれた純粋なる変態


これが日常…辛いです


「くっそー!木吉のやつ!」
「ずるいずるい!」
「………!(ギリギリ)」
「最終的には鉄平×燐くん!?なんておいしいの!?ごちそうさま!」
「今度のCPはそれでいくか!」

後ろでなんかギャーギャー聞こえるけど、もう知らない。









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