「えっとぉ・・・」
「大人2名でーす!」
チケットを券売機で買って、店の人に渡す。
もちろん俺はまだ俵抱きされたままだ。
店の人はトトロ以上にデカい紫原とそれに抱えられてる俺というなんともカオスな状態に呆気にとらわれている。
「あ、すみません。3名でお願いします。アツシ、そろそろ降ろしてあげなよ」
「・・・室ちん。なんでいるし」
「決まってるじゃないか。歩がいるのに俺が行かないわけないだろ?」
店の人は氷室のイケメンっぷりに目をハートにさせて、さっさと席へ案内する。
くそっイケメン爆ぜ腐れ!
席に案内された俺たち。
方や紫原、方や氷室の隣に座らなければ行けない現状。
四面楚歌というのはこういう事なのか、と変に意識をトリップさせる。
「俺の所おいでよ、歩ちん。久しぶりの歩ちんの匂い嗅がせて?むしろ歩ちんの匂いをおかずに甘いもの食べるから」
「死ね。甘いものに謝ってこい!」
「アツシ、歩が怯えているじゃないか。俺の所においで。大丈夫何もしないから」
「・・・本当か?」
「もちろん今はしないよ。そういえば知っているかい?昔日本ではお尻の穴に羊羹を入れてひり出すという行為が・・・・」
「アー何も聞こえないー!俺帰るっ」
「冗談だよ。何もしないからおいで」
氷室の長い腕が俺を掴み隣の椅子に座らせる。
ニコニコ笑う氷室の前に今にもひねり潰しそうな顔をしている紫原。
店にいる人たちは空調が効いているはずなのに身震いをし始め、上着を着る。
無理もない。
この席だけどう考えても冷房が効いているみたいだ。
寒い。おねーさーん。
お姉さんの体で俺を温めてください。むしろ中に・・・
「さ、歩ちんケーキ取りに行こう?」
「えっちょっうわっ!?」
「まったくアツシは乱暴だなぁ。女の子には優しくするもんだよ」
「氷室!俺女じゃねーし!」
ズルズル引っ張られて皿を持たせられる。
紫原は既に1枚目の皿をてんこ盛りにして机の上に置いていた。
来たもんはしょうがない。食うか。
タルトにショートケーキ、チョコケーキにチーズケーキ。
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