「結城〜!!辞書貸してぇぇぇー!」

「よぉコガ。どの辞書だよ。つーか水戸部は?」


朝練が終わった2限目の休み時間。

珍しく小金井が泣きっ面で歩の元へやってきた。

それから少し遅れて水戸部も困り顔をして教室へと入っていく。


「和英ー!水戸部も持ってないっていうし、結城が頼りなんだって!」

「はぁ・・・ほら。和英でいいんだよな?」

「ありがとー!結城大好き!」


小金井はギューっと歩の体を抱きしめる。

キャーっと黄色い声が小さく響く。

しかし小金井に力いっぱい抱きしめられている歩の耳には聞こえていなかった。


「小金井くん×結城くんもありね・・・」

「いや水戸部くん×結城くんもありよ。ほのぼの美味しいです!」

「いっその事3人でほのぼのヤっちゃえばいいと思う!」

「(なるほど・・・桃井さんに今度は誠凛本にしようって言ってみようかしら)」


腐れ女子は通常運転中。

誠凛男子バスケ部の見ものの1つチームワークは燃料としてよく萌え、否燃えていた。

小金井はお目当ての辞書を貸してもらえホクホクとした顔で教室を出て行く。

しかし水戸部はその場にいたまま。


「どうした、水戸部?」

「・・・・・」


水戸部のポケットの中から出てきたのは2粒ののど飴。

それを歩の手に握らせた。


「そういえば朝練終わった時に喉痛いって言ってたの覚えていたのか?」

「・・・・・」


そうだよ、と言わんばかりに頷く。

歩はありがとう、と笑みを浮かべ水戸部に抱きついた。









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