水無月という男は何処にでもいるような平凡の男だった。
運動部ではないが運動部顔負けの食事をペロリと平らげる。
クラスメイトの岡村とは仲がよく、よく一緒にいる。
福井曰くモミアゴリラとチンパンジーだそうだ。
「水無月先輩?」
「ひ・・・むろ・・・」
5時間きっかりに氷室は戻ってきた。
中で蠢いていたバイブは電池が切れ、ただ中に収まっているだけの物と成り果てていた。
腹部や床にはどれだけだしたか分からないほどの精液が固まり、へばりついている。
瞳はさっきまでの凛々しさや反抗心は無く、彩度が落ちていた。
「沢山でましたね。何回イったんですか?」
「ふっあぁ・・・さ、3回」
「3回?3回でこれだけってよほど溜まってたんですね」
クチュリと水無月の自身を触る。
尿道からは少しだけ精液が漏れた。
動かないバイブを一気に引き抜き、床に転がす。
「いぃぃああっ!」
「バイブ、気持ちよかった?ココ、まだパクパク開いてるよ」
「んんん、氷室ぉ、やめっ」
パシン
水無月は今何が起こったのか分からなかった。
ただ止めてほしいがために氷室の体に触れただけなのに振ってきたのは静止ではなく、平手だった。
頬がジンジンと痛む。
何より氷室に叩かれたという事実が痛かった。
「俺は水無月先輩の口からそんな言葉を聞きたくて帰ってきたんじゃないんですよ。ねぇ、先輩?」
「っひ、むろ・・・ごめんなさい・・・」
「謝らないで。そんな悲しい顔もして欲しくないんだ」
チュッチュと叩かれた頬に氷室はキスを落とす。
痛かったそこはキスのおかげで痛みが治まったような気がした。
「水無月先輩好き好き好き大好き離れないで俺の目の前から消えないで消えたらその足も腕も折っちゃうよ」
どうして彼はそんな風になってしまったのだろうか。
そう水無月は思い涙を流した。
→