「テツヤここら辺なんかどうだい?」
「いいですね。バッチリです」
「ええー真ん中にしようぜー?」
映画館に入ると時期がずれていたせいでお客さんはまばらだった。
おかげで真ん中に陣取れるぜヒャッホイ!って思ってたのにあの2人に連れられて行かれた先は後ろの方の端。
その3列ぐらい離れた所に女子高校生2人組が座っていた。
はぁはぁ。女子高生可愛いよ、女子高生。
見れるっちゃ見れるけど、人がいないからもうちょっと前でもいいのにと思いながらも俺は2人に挟まれるように座った。
逆らうと倍返しで帰ってくるのはわかってるからな。ハハッ
「はい。先輩はカルピスでよかったですよね?」
「ん。おお。ありがとな」
ボーッとしてると両手に飲み物を持つ黒子と征十郎。
カルピスを受け取って一口飲む。
丁度喉が渇いてたのもあってその一口はすっと体に染み渡る。
「先輩誘ってるんですか?」
「はぁ?何言ってんだよ黒子」
もう一口、もう一口とカルピスを嚥下する。
「だってカルピスですよ?白濁液ですよ?そんなに白いの飲みたかったんなら僕の飲ませますのに」
「ぶっ!」
丁度口に含んでたカルピスを俺は噴き出す。
ゲホゲホと咳き込むと征十郎が歩汚い、と言いながらも背中を摩ってくれた。
「くろっお前なぁ?TPOを考えろよ!」
「いいじゃないですか。幸運にも僕たちの周りには誰もいませんし」
「テツヤもお盛んだな。ほら、映画が始まるよ」
丁度征十郎が言った瞬間、ブーっと開演のブザーがなる。
どんどん暗くなっていって予告の映像が流れ始めた。
『どんな時でも貴方の事が大好きなの!』
物語が中盤に差し掛かった頃。
俺の太ももに違和感を感じ始めた。
「っ・・・!?」
やわやわと触れるか触れないか分からないぐらいの手つきで太ももを撫でられる。
こんな事をするのは両隣のどっちかしかいない。
普段であれば大声出して怒鳴り散らしている所だけど今は公共の場で、尚且つ静かな映画館で。
明らかにバレたら俺だけが変質者だと思われる。
それだけは避けたい。
前科持ちとか笑えないし。彼女できなくなるし。
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