「先輩、前見たいって言ってた映画見に行きませんか?」
「映画?」
部活終わったある日。
黒子はいつになく上機嫌で俺に話しかけてくる。
手に持った2枚のチケット。
それは俺の好きな女優さんが主演している恋愛物の映画のチケットだった。
「母親が見に行く予定だったらしいんですけど、用事があって見れないとのことだったので」
この人好きでしたよね?と黒子は俺の手にチケットを1枚握らせる。
好きだけど・・・確かに好きだ。
ただし、怪しい。
俺だって疑いたくはないが、この変態のことだ。何かある。
はっお礼は体でとか言うんじゃねーだろうなぁ・・・。
じっと疑いの視線で見つめていると黒子は苦笑する。
「別にやましい気持ちで誘ってませんよ。ただ先輩と入れればいいんで」
「そ、そうか」
思ったよりあっさりな回答で俺は戸惑う。
でも、思いがけないお誘いなので俺は二言返事でOkした。
「(よし。誘う事はできました)」
その時黒子が真っ黒い笑みを浮かべていた事は誰も分からなかった。
当日。指定された場所に行くと見たくもない赤色もいた。
「やあ、歩」
「征十郎!?なんでお前がここにいるんだよ!」
「実は昨日から3日間ぐらいこっちに帰ってきてるって聞いたので誘ってみたんですよ」
いやいや聞いてねーし。
むしろコイツが恋愛物の映画見る姿とか想像できない。
まず征十郎が来るって知ってたら俺来なかったわ。
何しでかすかわからんからな。黒子もだけど。
「えーえっと俺帰ろうかなぁ〜ハハッ」
「歩?そんな事僕が許すと思っているのかい?」
そんな事したら家まで押しかけて親の前で犯してあげようか?
脅しのようなセリフを平気で吐くこの魔王。
家が特定されてるって怖い!
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