「どうした?守りもない俺を罵倒しに来たか?」

「っ・・・そうじゃないんです。本当にたまたまで・・・」


先輩は赤司くんの動揺の仕方に少し驚きました。

余裕の表情しか見たことのない赤司くんの顔がなぜこうも歪んでいるのか。

その渦中に自分がいることには気づいていないようです。


「先輩。僕たち先輩のこと誤解してました。すみません」

「うぉっ!?黒子か。久々でビックリしたよ。誤解ってなんだ?」

「僕たちは先輩の良いところを知ろうとせずにいたようです。ただ妬みだけを持って、嫌なところだけを知って先輩という人格を作っていました」


だけどそれが僕たちの誤解でした。とぼくは冷えて冷たくなった先輩の手を優しく握り、そっと手の甲にキスをする。

突然の事だらけで先輩は困惑していました。その姿も可愛いです。


「ただ、俺たちは謝りたいだけなのだよ。自分達が子供であったと。今まで2年間すいませんでした」

「ごめんなさいっス」

「えっえっえっ・・・」


いきなり僕たちに深々と謝られておろおろしていると、あまりにも戻ってくるのが遅いと心配したチームメイトたちが駆け寄りその中でも一番大きな人がギューっと先輩を抱き締める。


「ええーと君たちあれだよな。キセキの世代?」

「ていう事は水無月の後輩か」

「・・・貴方たちは?」

「ん。ああ俺たちは水無月の部活仲間だよ。今こうやって練習がてらにゲームしてるだけだ」

「そうでしたか」


一番背の高い先輩・・・どこかで見たような気もしますが、その先輩は僕たちを睨み水無月先輩を渡さないと言っているかのように抱きしめる力を強くしていて。

苦しい!と先輩は背の高い先輩の顎を殴って拘束を解き僕たちの所へとやってくる。

そして満面の笑みでこう言いました。


「まあ俺も皆の事勘違いしてたり嫌ってたりしてた事もあったけどさ。水に流してまた仲良くしてくれるか?」


コテンと首を横に傾けて伺うような感じで問いかける。

僕と赤司くんはあまり身長差がないのでよくわかりませんが、他高身長4人組から見れば上目遣いで見られているわけで。

羨ましいですね。縮めばいいのに。


「こっこちらこそなのだよ!」

「あっ!緑間っち抜けがけはいけないっスよ!」


水無月先輩は大男たちに抱きしめられる。

僕と赤司くんはその姿を一歩離れた所で見る。

ちらっと先輩の部活仲間の方たちの様子を見るとまるで苦虫を潰したような表情をしてました。

僕たちの方が出会いは早かったんですから負けませんよ?



「よぉ水無月サン。俺と付き合えよ」

「やだ」

「燐ちーんだっこしてー」

「あいにく俺よりでかいやつを抱き締める気はない」

「じゃあ僕ならいいって事ですよね?」


また後日、誠凛へ入学したと先生から無理矢理情報をゲットしたぼくたちが誠凛にて求愛行動をしている姿がちょくちょく見られるようになりました。

それどころかぼくは先輩がいる事も理由に来年、誠凛に入ることを決め今ぼくの隣に先輩はいる。

黄瀬くんたちには羨ましそうでしたがいいでしょう?




(緑間?これは・・・?)

(先輩の今日のラッキーアイテムの結婚指輪なのだよ)

(緑間っちの嘘つきー!本当は猫の置物のくせに!)

(なっ黙るのだよ!黄瀬!)


嫌いは好きになるためのスパイス






あとがき

欟夜様リクの最初は先輩キャラの事が嫌いだったキセキが先輩キャラの試合をしてる時の姿を見て先輩キャラを好きになって溺愛するでした。

試合よりもゲームの方が多分身近に見やすいかなと思って勝手に変更させていただきました、すみません。

両者とも勝手な勘違いによるすれ違いでした。

ちなみに他の先輩、後輩にちやほやされる理由は笑顔が可愛いからです。

普段は平凡なのに笑顔が可愛いからいつも笑っててもらいたいなという母性から。

キセキ全員が水無月の事を嫌っているのは知っていて、悲しませたくないからといつも誰か1人は一緒にいるようにするという暗黙のルールがありました。

誠凛メンバーもそんな笑顔にやられた被害者の方たちです笑

苦情は欟夜様のみ受け付けます。

リクエストありがとうございました!









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