伝えたい、聞きたい思い/赤司
「さ、帰ろうか。燐」
「ん。お疲れ、征」
部活終わりの征を玄関で待つ。
それが俺の日課。
2人で帰ったり、はたまた部活の部員と一緒だったり。
「いつも思うけど2人って本当に仲いいっスよねー」
「そりゃあそうだよ。燐とは幼馴染なんだから。ねぇ?」
「・・・うん」
俺はちゃんと返事できてるかな?
黄瀬はふーんと興味なさそうに返事をして俺の隣を歩く。
俺を真ん中にして右側に征が、そして左に誰かがくる。
今日は黄瀬だけどそれが紫原になったり、緑間だったりと変わる。
俺の右側は常に征がいた。
「それじゃあね。また明日」
「うん。バイバイ。おやすみ」
「おやすみ」
隣の征の家のドアが閉まるまで俺はじっとドアの方を見る。
征が完全にいなくなってから家に入る。
いつの間にかできていた日課。
部屋に行って、窓をふと見ると征の部屋にも灯りが灯っているのが分かる。
もしかしたら窓開けてくれるかな?なんて乙女みたいな思いを抱いてみたり。
「征・・・好きだよ」
本人には言えないこの気持ち。
俺はいつも数m離れたここから伝える。
俺の中で征がただの幼馴染から好きな人へ変わったのは中学に上がった頃。
征はバスケが上手だった。
強豪校の帝光ですぐにスタメンに入り、2年には主将へと上り詰めた。
才能はバスケだけではなく勉強もできる。
勉強も平均、特に秀でるものもない俺とは全くの大違い。
周りにちやほやされ始める征を見てモヤモヤしてきたのがきっかけ。
それから3年近くの片思い。
俺も征も男で結ばれるはずのない初恋。
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