「どうしたの、黒子くん?」
「っ・・・ありがとうございます。こんなにご馳走作ってくれて」
「ううん。俺だって皆がいてくれてるからこれだけ作れるんだよ。いつも元気に一杯食べてくれてありがとうね」
胸にグリグリと黒子は頭をすり付け、水無月はその頭をポンポンと優しく撫でる。
そんな黒子を見ていて羨ましくなったのか木吉が後ろから水無月を抱き締めた。
「俺の場所・・・」
「まーいいんでねーの火神。今日ぐらいは木吉に譲ってもよ」
いつもは自分が抱きついているはずの場所を奪われて火神は少し寂しそうに頬を膨らませた。
まったく子供ね、と相田は飽きれ、伊月は苦笑する。
水戸部は取り皿を小金井と用意し、土田は冷蔵庫の中からペットボトルのジュースを取り出した。
「冷める前に食べちゃおうか、皆」
「ええ。そうしましょ」
バタバタと自分の席へ着き、コップにジュースをついでもらって手に持つ。
日向は立ち上がってコホンと一度咳払いをする。
「んじゃ!部活お疲れさま!水無月さんに感謝していただきます!」
「いただきます!」
雰囲気も変わったリビングで食べる食事はいつもよりも倍美味しく感じ、会話も弾んだ。
プレゼント交換では、水無月があげたハーブティのセットを伊月が貰い、それを奪おうとする木吉や黒子、火神を持ち前のイーグル・アイで避ける姿が見られた。
ちなみに水戸部があげた安眠グッズを水無月が貰い、嬉しそうにその日から使ったのは言わずもがな。
明日も死ぬほどきつい練習が待っているが水無月の料理を食べたら乗り切れる気がすると心の中で皆思いながら今日という日を過ごしたのであった。
「・・・・!!笠松先輩!!」
「ん?どうした・・・って!?」
25日のクリスマス当日。
部活から帰ってきた海常、秀徳、桐皇、陽泉、洛山の寮のリビングに白い箱に端が赤と黒の白いリボンでラッピングされた箱が置いてあった。
「真ちゃん!メッセージカードがある!」
「渡すのだよ、高尾」
箱の上には小さなメッセージカードが添えられていた。
「なんや・・・」
『メリークリスマス。ほんの気持ちですが食べてください。 水無月』
「水無月さん・・・貴方って人は」
「きゃー!燐ちゃんからのケーキ!手作りよ!」
水無月から他寮への小さなクリスマスプレゼントのケーキが置いてあった。
次の日、気味が悪いほどに上機嫌だった笠松たちを見て黒子たちは頭にハテナマークを浮かべた。
「皆おいしく食べてくれたかなぁ?」
(黄瀬くんどうしてそんなに上機嫌なんですか?)
(へへーん。なんでもないっスよ)
(気持ちが悪いですね。吐かないとイグナイトかましますよ)
(っそれだけは勘弁っス!)
幸せは平等に