黒子?火神?木吉?
それとも黄瀬か緑間か高尾か。
はたまた俺がまだ知らない誰なのか。
俺の中の黒い醜いドロドロとしたものが溢れ出てくる。
「っアイツらぁいっぺんシメる!」
「アイツらって事はたくさんいたんだ。楽しかった?」
自分でも驚くぐらいの低い声。
結城は目を見開き俺を見る。きっと怖がらせてしまった。
違う。俺はこんな顔をさせたくて言ったわけじゃない。
「伊月さっきから様子おかしいぞ?俺何かした?」
結城の顔に焦りが見える。
結城が俺の前で他の男の話をするからだよ、なんて口が裂けても言えない。
好きだ。
好きだ、結城。
他の誰よりもずっと思ってきて心の中に温めていたこの気持ちを伝えたい。
俺はゆっくりと口を開き思いを告げる。
「ねえ、結城。俺さ。ずっと結城に内緒にしてた事があったんだ」
「いきなりなんだよ・・・内緒って?」
机越しに座る結城の肩を掴み、俺の方へ引き寄せ唇を合わせる。
手入れをしていないカサカサな男の唇。
さっき飲んでたココアの味がほのかにした。
「なっ・・・なっ何するんだっ!」
慌てて結城は立ち上がり椅子が倒れる。
顔を真っ赤にして、口を両手で覆った。
そんな表情が可愛くて。
一番最初に見た黒子が羨ましい。
「何ってキスだよ。俺、そう言う意味で結城の事好きなんだ」
「っ意味わかんねぇ・・・」
ゴシゴシと唇を力任せに拭かれる。
まるで俺の気持ちまでもなかったようにされているように思えてきて。
俺も立ち上がり、結城の傍へと寄る。
「なんだよ。近寄んなっ」
「嫌だよ。だって、俺ずっと待ってたんだから」
トンと机に結城の体を寝かす。
抵抗されないように手は自分の手を使って防いで、足は閉じないように自分の体を潜り込ませて開いた状態にする。
もう、後戻りはできない。
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