なんとか気を紛らわせれたかと灰崎はほっとする。

が、そんな一安心もつかの間だった。


「どうして桃井さんはここへ?」

「んー?今日ここに燐ちゃんが来てるらしいの。で探してるんだけどね」

「燐っちが!?今日用事があるからって俺らの誘い断ったのに!」

「黄瀬煩いのだよ。耳元で話すな」

「燐。僕の命令を無視してその挙句・・・ね」


黄瀬は叫び、赤司は終始笑顔だが目が笑っていない。

青峰や紫原もキョロキョロと店の中、店の前を探す。

黒子もそうですか。と桃井に返事をし、じっと店の外を見る。

そこには灰崎と楽しそうに服を見ている燐の姿があった。


「赤司くん、あそこじゃないですか?」

「どこだい?」

「本当にいやがった・・・」

「なんで灰ちんがいるんだし。しかも燐ちんの体あんなにベタベタ触っちゃってさ」


キセキの面々は一気に不機嫌になり、ずんずんと真向かいの店へと歩いていく。

桃井も1人楽しそうに黒子の後を追った。

ちなみに桃井は灰崎と燐が付き合っている事は知っている。

燐が桃井に相談してきたのだ。

皆に灰崎と付き合ってる事を伝えたいんだと。

しかし、ご覧の通りキセキは燐厨の残念なイケメンばかり。

例え燐本人が言っても信じては貰えない。

だからこそ皆に自分たちが幸せである事を見て分かってもらいたいから協力して欲しいとの事だった。


「(もー幸せそうに笑っちゃって!)」


遠目からしか見えないが2人は幸せそうにしている。

桃井は見えない所で小さくガッツポーズをする。

やる事はしたからあと2人で頑張ってねと心の中で呟いて。



「燐!」

「うぇぇ皆!?」

「っち。来やがったか」


背後に殺気を漂わせ、瞬きをするだけでも人が殺せそうな程迫力があった。

店の人はいきなり現れた長身、カラフルな学生たちに怖気付き店の奥へと身を潜める。

数人ちらほらお客さんがいたが全員いつの間にかいなくなっていた。

燐は周りを見渡しあっちゃ〜と小さく呟き、頭である赤司のブレザーを引っ張る。


「外でよ?な?ここ迷惑になるだけだから」

「・・・燐が言うならしょうがないな。お前ら行くぞ」


少し頬を赤く染めた赤司の命令により全員が店、というかショッピングモールの外へと出て行く。

その時燐と灰崎の間にキセキが割り込み隣には居させなかった。









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