「景虎さん美味しくないですか?」


燐は景虎の箸が止まっている事に気づく。

景虎は慌てて大好きなチンジャオロースをかきこんだ。


「変なパパ。じーっと燐見ちゃってあやしー」

「見てない!パパはリコ命だから!」

「気持ち悪っ。燐もいるのにやめてよパパ!」


顔を真っ赤にしたリコは照れ隠しで景虎の顔面におしぼりを投げつけた。




燐お手製の苺のタルトは美味しかった。

コクのあるカスタードクリーム、その下に薄く敷かれているブラックチョコレート。

水々しい苺、その上に艶やかに光るシロップ。

パティシエにでもなれるのではないかと思えるようなデキだった。


「うめぇ。リコもこんだけできればなぁ・・・」

「もー!私だってこの合宿で頑張って料理作ったんだから!それに燐が私の分まで作ってくれるからいいの。ねー燐」

「うん。そうだね。その分リコはお仕事頑張ってよ」

「あったりまえじゃない」


未来は逆転夫婦かと景虎は笑う。

愛娘が他の男の所に行くのは正直嫌だ。

しかし、燐ならいいと思っている自分がいる。

今では燐でないとリコを嫁に行かせたくないと思っている。


「はい、リコこれ。欲しかったんだろ?」

「っ・・・知ってたんだ。ありがとっ」


燐がリコに渡したのは今巷で女子に流行っているアクセサリー。

柄じゃないからと買うのを諦めていた矢先に手渡されたソレをリコは首につけて見せた。

似合うよ。ぴったりだと燐は笑う。

リコはまんざらでもない顔でケーキを一口食べた。

片方の手はずっと貰ったネックレスを指で触っていた。

景虎には最近でた外車のカタログと好きだと言っていた車のプラモデルを。

前ドライブに行った時にポツリと呟いただけだったのによく覚えていたなぁと感心した。









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